Sagoで楽器ができるまで。 デザイン・CNC加工編
最終更新日: 公開日: 製作の様子
こんにちは。
Sagoの楽器作りを紹介するブログ。
今回は「デザイン・CNC加工」について解説させて頂きます。
Sagoでは日々様々な楽器製作をしておりますが、
近年はSeed、Stem、そしてSonicとの
コラボブランドであるXimeraなど
取り扱うブランドも増えてきました。
様々なご依頼を頂けているのは、
オーダーメイドにこだわって
ギター・ベースを創り続けてきたからだと
考えております。
SNSで作業風景を日々アップしておりますが、
Sago Blogでもオーダーを受けてから
楽器が完成するまで、
Sago工房でどのようなことが行われているか、
改めて紹介したいと思います。
1. 2Dデータの作成
オーダー成約後、楽器の仕様を細かく詰めていきます。
木材の加工後は後戻りが出来ないので、
このオーダー時の打合せが最も重要です。
仕様が確定したらオーダーシートに落とし込み、
それを元に2Dデータを作成します。
この2Dデータは専用の設計を必要とする
フルオーダーでは必ず行なっています。
ギター、ベースの形状やカラーなどデザイン面の他、
コントロールノブやピックアップなどの
ハードウェア類の位置なども1mm以下まで
細かく落とし込んで行きます。
例えばボディに繊細なデザインを施すのに、
写真を挿入して、イメージをご確認頂く
ケースもあります。
つまり外観をチェックする程度の
ラフなデザイン画ではなく、
平面での設計図です。
このデータを元に次の3D CADデータへ
とより高度な設計に進めていきます。
なおセミオーダーでも、
スタンダードスペックから変更したい内容が
イレギュラーな場合には、
同じく2Dデータを作成しています。
2. 3DCNCデータの作成
ボディの曲線的な加工、ピックアップ・キャビティーなどの
電気系統の細かい箇所は3Dでしっかりと設計を詰めていきます。
全ての設計が完了するとコンピューター上で、
CNCルーターでの加工シミュレーションを行います。
3. CNC加工
CNCとはComputer Numerical Controlの略、
コンピューターによる数値制御で
木材を加工することです。
このCNC加工はSagoの2nd Factoryで行っています。
完成したデータを専用のマシンに読み込ませ、
スタートボタンをポチっと。
今回はこれらの木材からXimeraのArxiを
切り出していきますよ。
最初はネックです。
ネック材であるハードメイプルを内側から
Arixのネックになるよう型取りしていきます。
次にトラスロッドの溝を彫っていきます。
トラスロッドの溝は中央になるほど
深くなる構造ですので、CNCによる
正確な加工は重宝しております。
そしてネックを徐々に切り出していき、
最後に細めのエンドミルで外周を整えていきます。
CNC加工が完了したネックがこちら↓
光が透けるほど、薄く加工されてますね。
続いてボディに。
ボディは表面と裏面それぞれで加工を行います。
はじめは裏面から加工していきます。
こちらも内側から型を取っていきます。
ホーンが現れて、徐々にボディの形が現れてきます。
外周を切り出したら、次に電気回路を収納する
キャビティを掘り出していきます。
トップ材が見えるところまで削ります。
なおトップ材を使用する場合は
加工前に予めボディ材と貼り合わせておきます。
そしてCNCマシーンが得意とするナナメ加工で
ウエストコンターをつけていきます。
最後に外周を整えて、
ネックとボディジョイントする
ビス用の穴をあけていきます。
なおXimera Arxiは6点止めを採用しております。
続いてボディの表面へ。
まずはネックポケット→ピックアップが
入るところを加工していきます。
次にお待ちかねのナナメ加工、
今度はエルボーコンターをつけていきます。
このサーモアルダーと
トップ材のプレーンメイプルのコントラスト、
何だかプリンみたいですね 笑
そして細めのエンドミルに変えて、
外周を整え、コントロール部の穴を開けます。
なおXimeraのArxiはピックアップを
2段構造にしております。
詳しくはセットアップ編で解説しますが、
下段にノイズキャンセル用の
音を拾わないコイルを内蔵していて、
フロント or リア いずれか片側で音を鳴らしても
ノイズがほぼ出ないようになっています。
こうした微細な箇所もCNCマシーンで
正確に加工できるので助かっております。
ちなみに木材ってどうやって固定してるのか?
これはモデルごとに下敷きを用意しており、
ボディを型取ったゴムで隙間を埋め、
マスキングテープが貼ってあるところの
小さい穴からエアーで木材を吸引しています。
CNCマシーンにセットする前に、木材の平面を出し、
加工した面を下にします。
力を入れて動かそうとしてもびくともしません。
あら、こんなところにあるキャラクターの面影が 笑
5.指板のラフカット
最後は指板です。
指板はまず厚みを出しつつ、Rをつけていきます。
Ximera Arxiはハイポジションに向かうにつれて
なだらかな円になるコンパウンドラディアスを
採用しています。
次に外周を整え、ナットの溝を切り出したら、
フレットの溝をつけていきます。
この時使うエンドミルはわずか0.7mm。
フレットの溝も0.7mmとかなり細いです。
指板材のリグナムバイタが硬度なこともあり、
エンドミルが折れないよう、加工は慎重に行います。
はじめは切り傷程度だったのが、
徐々にエンドミルを深く当てていきます。
何周も同じコースを辿っていき、
フレットの溝らしくなってきました。
加工が完了した指板がこちら↓
【ボディとのジョイント側】
【ナット側】
しっかりとRがついていますね。
はじめは角材だったのが、
ベースのカタチへと加工されましたね。
6.まとめ
以上となりますが、いかがでしょうか?
このCNC加工はお客様がいつもお越し頂く
Sagoの1st factoryでは行っていないため、
お見せする機会がなかなかありませんでした。
しかし0から1が作り出される感動的なシーンでもあり、
今回お伝えさせて頂きました。
次回はボディ制作編です。
Sagoスタッフが1本ずつ丹精込めて磨いて、
馴染みあるギター・ベースへと
仕上げておりますので、
お楽しみにしてて下さい。