SagoのOveってどんなベース?
こんにちは。
今回からスタートするSagoのConcept modelを深堀するコーナー。
初回はSagoのベースモデル – Ove – について
コンセプトの解説や通常のジャズベースとの違いなどを書いていこうと思います。
創立当初からオーダーメイドを軸に、オリジナルモデルの製作に力を注いでいたSagoにとってOveは主軸となっているモデルでありJABBERLOOPの永田 雄樹氏やVOLA & THE ORIENTAL MACHINEの有江 嘉典氏を始めアーティストや多くのベーシストの方にご愛用頂いております。
1.コンセプトは進化したジャズベース
細身のネックシャイプと広いレンジ感、歯切れの良いサウンドが特徴のジャズベース。
フェンダー社から1960年に発表されて以降
大きく形を変えることなく、現在も多くのベーシストが手にする定番モデルです。
このジャズベースをリスペクトしつつ
Sago独自の視点でルックス、演奏性、サウンドを追求し
生まれたのがConcept modelのOveです。
丸みを帯びたボディシェイプは演奏時の右手の安定に貢献、軽量化にも成功。
また2バンドEQ(LOW/HIGH)のアクティブ仕様にすることで、シンプルな操作ながら幅広い音作りを可能としています。
オーダーでは4弦モデル・5弦モデルがレギュラーラインナップになります。
2.普通のジャズベースと何が違うのか?
一口にジャズベースと言っても、メーカーやモデルによってサウンドはもちろん演奏性も異なります。
では一般的なジャズベースとOve4(4弦)は何が違うのか?ざっと書き出してみました↓
この中で特に注目したいのはピックアップカバーです。
Oveのウッドピックアップカバーは通常のプラスチック製Jスタイルのピックアップカバーより幅が広いので、指弾きで親指を置く際、しっかりとしたホールド感があります。
そして木の温もりを感じるこのルックスは一目置かれるアクセントとなるでしょう。
ちなみにボディにトップ材を貼る場合、ウッドピックアップカバーにも貼れば、一体感のあるビジュアルにすることもできますよ。
また通常のジャズベースは20フレットであることが多いですが
SagoのClassic Style-J・Classic Style-P、そしてこのOveでは21フレットを採用しています。
この1フレットの違いがスケール的に大きな差を生み出しており
楽曲によってはもう1フレットあった方がフレージングしやすいといったケースに重宝されます。
深めのカッタウェイにより最終フレットへのアクセスもスムーズなので、21フレットが実用的に使えることも大きな特徴です。
3.通常のジャズベースと共通しているところは?
では逆に共通しているところは?と疑問が湧くと思うので、コレについても記載します。主には下記4点です↓
・細身のCシェイプネック
・34inchスケール
・Jスタイルの2つのピックアップ
・ペグの配置
Sagoの楽器はフェンダーやギブソンなどの王道メーカーのネックシェイプ、スケールを元に設計していますので、
通常のジャズベースから持ち替えても違和感なく演奏出来るのがお分かり頂けると思います。
コントロール部は異なりますが、バランサーの調整により、フロント寄りのプレシジョンベースライクないなたい音や、リア寄りにしてジャコパストリアスのようなポコポコしたサウンドも同様に出すことができます。
Oveのサウンドそのものはジャズベースと同じく立ち上がりが速くて、ストレートなキャラクターですので、どんなジャンルにでも柔軟に対応でき、オールマイティーです。
指弾き、ピック弾き、スラップ、どの奏法でもベースラインが分かりやすく、ピッキングのニュアンスがしっかりと感じられ、アンサンブルでも存在感があります。
4.ボディ
ウッドマテリアル
木材はアルダーボディ、メイプルネック、ローズ指板と
標準的なジャズベースと同じとしながらも、トップグレードの良質なものをご用意しています。
そしてボディにはサーモウッドを採用しており、ボディー材のアルダーにはサーモ処理を施しています。
このサーモアルダーボディによって均等性が取れ、低音から高音までバランスよく鳴ります。
ジャズベースが持つゴツっとしたアタックを
ノンサーモのメイプルネック・ローズ指板で作り
サーモアルダーによってワイドレンジに出力しています。
一般的なジャズベースと一味違うサウンドの要因としてサーモアルダーによるアコースティックなトーンが1つ挙げられますね。
なおOveをセミオーダー頂く際は、求めるサウンドによって上記の以外の木材を選定頂くことも可能です。
シェイプ
ボディシェイプはジャズベースを元に、より丸みを持たせてタマゴのような形状に。
座ってベースを抱えても体にフィットし、コンター部分を滑らかにする事で
ピック弾きで肘がかかってもストレスなく演奏に集中することができます。
またくびれを持たせたスリムなボディ形状とサーモ処理されたアルダーにより、軽量化に貢献。
長時間のプレーが必要な場面でもあなたの強い味方になってくれるでしょう。
ジョイント
ネックとボディのジョイントには4点止めボルトオンを採用しハイフレットへのスムーズなアクセスを可能としています。
ジョイント部がボックス形状となるプレートジョイントと比べると最終フレットへかなり楽にアクセスできます。
ピックアップ
Sagoが自社で巻いているオリジナルのL(x) pickup。
マイナーチェンジ前はPascumillerd4-type1というJBタイプのピックアップをClassic Style-JやOveで標準採用していましたが、新たにL(x)-SSピックアップに変更しました。
Pascumillerd4-type1
L(x) SS
通常のJBタイプのピックアップとの一番の違いはポールピースの位置です。
通常のJスタイルのピックアップのポールピースは並列なのに対して、SSピックアップは斜めであることが特徴です。
ポールピースが斜めになることでコイルの外周が広くなり、同じ巻き数でもJBBタイプのものより長く巻くことになります。
またSSピックアップに求められる中低音の厚さ、立体的で芯のあるサウンドとなるよう、巻き数やマグネットワイヤーの種類など通常のJBタイプのピックアップとはレシピを変えています。
ピックアップを開発するにあたり、アーティストやSagoのギター・ベースをお使いの皆さまからご感想を頂きながら制作しております。
オリジナルプリアンプ
Oveに搭載されているTREBLE・BASSの2 BAND EQ。
サウンドキャラクターを変えずに低音域、高音域をブースト/カットし
シンプルな操作でサウンドバリエーションを拡大するツールとなっています。
ちなみに2 BAND EQがフラットの状態でもプリアンプを通すだけでパワー感のあるサウンドになります。
ウッドピックアップカバーはプラスチック性のカバーよりも若干厚みがあり
ベース弦とピックアップのポールピースとの間で若干距離が生まれます。
それによりパワー不足とならないよう
プリアンプやL(x) pickupとの組み合わせで
バランスの良いサウンドとなるよう設計しております。
またVOLUME PODを引っ張ることにより
プリアンプをバイパスしてパッシブ回路に切り替え出来ます。
よりナチュラルなサウンドでプレーがしたい場合に
ワンタッチでパッシブの状態が呼び出せるので便利です。
オーディオライクにOveのサウンドキャラクターをそのまま生かした音作りが出来るプリアンプなので、アクティブ仕様のベースが苦手という方にも安心してお使い頂けます。
バッテリーボックス
プリアンプやLEDポジションマークを搭載したモデルには9Vのバッテリーが必要となります。
Sago全モデルに採用しているGotoh製BB-04はバッテリーボックスと蓋が一体となっています。
キャビティーを斜めにスライドさせて、バッテリーを入れる構造となっているため、工具類を必要とせず簡単にバッテリー交換が出来ます。
※18v仕様のプリアンプ、またはプリアンプ+LEDポジションマーク搭載のモデルは9Vバッテリー2本を使用するため、BB-04Wを採用。
ちなみにキャビティのスペースも広めに取っており、3 Band EQにしたいなど、コントロール、スイッチ類を後から変更したい場合にも対応できるようにしています。
中立中性という意味を持たせたOve。
汎用性の高いモデルとして、幅広いサウンドメイク、アレンジを可能としています。
ブリッジ
ブリッジにはGotoh 404BOを採用しています。
重さのあるブリッジのため、サウンドも低音がくっきりとした傾向になります。
5. ネック
細身のCシェイプネック、34inchスケール
通常のジャズベースから持ち替えても違和感がなく、長時間のプレーでも疲れにくいネックを設計しています。
ネック厚は一般的なジャズベースより若干薄めとなっており
握り込んで押弦したり、和音弾きなどあらゆるフォーム、ストレッチを想定しています。
ペグ
Oveで採用しているGotoh GB528は軽量で、ヘッド落ちを防いてくれます。チューニングの安定性も良いので、Oveとの相性が良いです。
ルミンレイ ポジションマーク
Ove以外のモデルとも共通となりますが、サイドポジションマークには蓄光素材のルミンレイを採用しております。
照明の光を吸収して、暗くなった時にサイドポジションマークが光ります。
ライブでの演出でステージ上が薄暗くなるシーンにおいても、ポジションが分かりやすく正確な演奏ができるようアシストしてくれます。
LEDのような強い光ではないため、目にも優しいのが嬉しいポイントです。
なお大きさは2mm、2.5mm、3mmの3種類、カラーはブルーとグリーンの2種類をご用意しております。
ポジションがより分かりやすい外周を黒くしたものもあります。ご指定がない限りはエレキギターはブルーの2mmを標準としております。
6.歴代のOve
実はこのOve、2度に渡ってマイナーチェンジしているのです。
初代のOveは24フレット、3バンドEQのアクティブ仕様でした。
広い音域とフレキシブルにサウンドメイクができるモデルとして約4年製作していました。
そこから2代目のOveではよりジャズベースらしく
親しみを持っていただくために、パッシブ仕様(1ボリューム、バランサー、トーン)に。
さらにプレシジョンベースのように、ピックガードにコントロール類が乗るようデザインしました。
またジョイントのボルトオンを5点から4点に変更して、ハイフレットへのアプローチを向上しました。
そして現行モデルとなる3代目は更にジャズベースに近いプレイアビリティにするため21フレットに変更。
ヘビーユーザー向けの24フレット仕様はPrime EdgeやRidillなどの他のモデルに任せ、取り回しの良さを重視しました。
そしてLOW/HIGHの2バンドEQ、アクティブ仕様とし、シンプルかつ積極的な音作りが可能なベースへと生まれ変わりました。
ちなみに現在でも旧型のOveをオーダー頂くことがあり、アップチャージなしで製作可能です。
24フレットをお探しの方は、旧Oveもぜひ候補に入れてみてください。
7.オーダー実例
Ove4 FL-Arie Custom-
VOLA & THE ORIENTAL MACHINEの有江さんにお使い頂いているフレットレス仕様のOve4。
ビンテージなトーンを演出するサーモウッドのネックはフレットレスのベースにも相性が良いです。
ジャコ・パストリアス氏のようなアタック感にするため、エポキシーコーティングを施しました。
また2Volume +Toneのパッシブ仕様にすることで、フレットレスによる丸いサウンドをナチュラルに出力。
プリアンプが通らない状態で、ウッドピックアップカバーをかぶせているため、ピックアップは通常のものより少しパワーを上げてクリアに仕上げました。
Sagoが自信をもって紹介したいアーティストモデルの1つです。
Ove Custom
オーダーベースでご注文いただいた、こちらのOve Custom。
トップ材にはスポルテッドメイプル
バック材はサーモアルダー
ネック材はハードメイプル
指板材はインドローズとなっています。
塗装はウレタンマットのナチュラル仕上げで、トップ材のスポルテッドをそのまま生かしたビジュアルに仕上がりました。
ジョイント部分には一段落とし加工、指板はコニカルラディアスのカスタムをしており、プレイアビリティもしっかり考えられたモデルです。
旧Ove Custom
こちらはOveがマイナーチェンジする前の、旧型のOveをカスタムしたモデルです。
トップ材にはクラロウォルナット
バック材は欅
ネック材はハードメイプル
指板材はバーズアイメイプルとなっています。
旧Oveは、ピックガードはなしの今のシェイプよりもえぐりが強い見た目をしています。
現在でも密かにオーダーをいただく裏メニューのようなモデルです。
杢の特徴的なクラロウォルナットに明るいバックアイメイプルのPUカバーが映えますね。
豪快な木目の欅ボディはミッドが特徴的なサウンドをしており、Sagoでも好評をいただいています。
気になる方はぜひサウンドを聞いてみてください。
8. まとめ
以上となりますが、いかがでしょうか?
SagoのConcept modelの中でも歴史の深い「Ove」
中立中世という意味を込めて名前をつけました。どんなジャンルにも柔軟に対応できる新たなジャズベースタイプの楽器として、少しでも皆さんにとって身近な存在になればと思います。
Oveモデルは弊社の試奏チャンネルにてサウンドが聞けますので、気になっている方はぜひ一度チェックしてください。
標準のL(x)-SSタイプだけでなく新開発のピックアップなどでの試奏動画も上がっています。
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