Sagoで楽器ができるまで。ネック製作編(後編)

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こんにちは。
Sagoの楽器作りを紹介するブログ。

今回は「ネックの製作」について解説させて頂きます。

指板、グリップの研磨がある程度
完了したところからどのような工程を経て
ネックへと仕上がるのでしょうか?

今回は後編です!


1.サイドポジションマーク

サイドポジションマークには蓄光素材のルミンレイを採用。

ギターは2mm, ベースは3mm。
メイプルなど明るい木目の場合は
外周に黒い縁がついたものを使用しています。
ご指定がない限りカラーはブルーを採用。

サイドポジションマークが入るところをマーキングして、
ハンディドリルで穴を空けていきます。

そこに棒状のルミンレイの素材を入れ込み、
ニッパーでカット。
ハンマーではみ出ているところを慎重に押し込んでいきます。

2.指板をコーティング

指板材によって指板面の仕上げが変わります。

メイプルなどはクリア塗装仕上げ
ローズ指板などは塗装をしないため、
かわりにオリオというオイルフィニッシュ風の
ウレタンを塗っていきます。

光沢が出たり、指板面を保護する役割があります。

3.フレット打ち

続いてフレットを指板に打ち付けていきましょう。

ローポジションからハイポジションまで
一定のRの場合は、こちらの器具で
指板のRに合うよう、フレットを
なだからに丸みをつけていきます。

フレットのカーブが指板と合うようになったら、
フレットを圧入していきます。
フレットが後から浮いてきたりしないよう、
均等に、慎重に力をかけていきます。

一方、桜村眞さんモデルの麒麟や時雨、
XimeraのArix, Moxinoなどには
コンパウンドラディアス(Compound Radius)を
採用しています。

コンパウンドラディアスとは
ローポジション(ナット側)はRに丸みがあって、
ハイポジション(ボディ側)へ移るにつれて、
Rが緩やかな曲線になった指板の加工です。

予めNCルーターでRがついた状態で
ラフ加工されますが、手動での研磨はもちろん、
フレットを打ち込むのにも各ポジションのRに
合わせて研磨を行う必要があります。

1フレットずつハンマーで曲がり具合を
微調整したり、フレットが後から浮いたりしないよう、
丁寧に満遍なく圧入していきます。

最後にフレットの側面をやすりで削っていき、
フレットの角を落としたり、
サイドポジションマークがはみ出ているところを
なくしていきます。

4.特殊なネック

Sagoブランドの楽器をお使いの
アーティストやお客さまからのアイデアによって、
通常のギター・ベースとは少し違ったネックを
採用したモデルが誕生しました。

例えば、桜村 眞さんの虎徹。

低音側に5フレット延長したネックにより、
7弦ギターで取り扱う音域を6弦ギター演奏時の
コードシェイプのままプレイすることができます。

←こちらはYOSHIHIROさんのCustom Model。

SeedからSeed Kotetsuが登場したり、
このスケールを元に新たなアーティストモデルが誕生したり、カスタムオーダーを頂いております。

時雨では7弦ギターで2フレット低音側へ延長し、
なんとLow-Aまで出ます。ヘビーなサウンドですよね!

またSPITZ、田村さんのSago F Bassは、ネックを通常より1フレット分短くしたいとカスタムのオーダーを頂きました。

ボディやピックアップ等のパーツは完成当時のまま、ネックを新たに製作しました。

このネックによるハリのあるサウンド、少しコンパクトになったことにより、先日のSPITZ NIKKE TOURのステージで活躍していました。

量産工場とは違い、オーダーメイドで
1本ずつこだわってネックを作ることで、
このようなSagoにしかないモデル
生み出すことができました。

「デッドポイントがない。」
「コードやアルペジオを弾いた時に音が濁らない。」
「コーラスや空間系のエフェクトをかけた時に
一音一音がハッキリしていて、エフェクトのノリがよい」

とSagoのギター・ベースをお使いの方々から
お声を頂いているのも、ネックをしっかり
作り上げているからだと考えております。

5.まとめ

2回に分けてお届けしたネックの製作工程。
こだわって1本ずつ丁寧にお作りしております。

ネックの木工が終わり、ヘッドの表面以外を
マスキングしたら、次は塗装に入ります。

Sagoスタッフの手で磨き上げた
ボディやネックを鮮やかに彩っていきますので、
次回はその様子をお届けしたいと思います。

お楽しみに。

ネック製作編

塗装編