5弦ベースのメリット・懸念点について
こんにちは、SagoNMG工房です。
5弦ベースといえば、使用しているミュージシャンや楽器店さんでも多く見かけるようになり、かなり馴染みあるものになりましたね。近年のオーダーでも、4弦ベースと5弦ベースの割合は半々くらいまでに変化しています。
そんな5弦ベースには、いったいどんな魅力があるのでしょうか?
今回のブログでは5弦ベースのメリット・懸念事項について解説していきたいと思います。
5弦ベースの種類
5弦ベースとは通常の4弦ベースからLow-B弦、もしくはHigh-C弦を加えたものです。
Low-B弦を加えると低音側に音域が拡張し、レンジの低い低音を鳴らせます。
元々は4弦ベースよりも低い音域で演奏可能なシンセベースに対抗するために5弦ベースが誕生したと言われています。
ラウドロックをはじめ、現代のJ-Popにおいては必要不可欠な地位を確立しています。
一方High-C弦を加えた5弦ベースは高音側に音域を拡張しており、コード弾きやソロベースなどに活用されることが多いです。
5弦ベースというとその多くは4弦ベースにLow-B弦を加えたものを指しますので、今回のブログではLow-B弦の方の5弦ベースについて解説します!
5弦ベースのメリット
Low-Bの圧倒的なサウンド
4弦ベースよりもレンジが低く、重低音でバンドアンサンブルを1音で支配するLow-Bのサウンドは5弦ベーシストの特権と言えます。
4弦ベースの通常のBと比べると、音圧、低音の迫力が圧倒的に違います。
通常のBの1オクターブ下であるLow-Bのサウンドは、5弦べースがポピュラーになった今でもニューウェーブで世界観をガラリと変えるような印象があります。
7弦ギターのLow-Bも加わったラウドなジャンルはもちろん、ジャズセッションなどで5弦ベースによるレンジの低いサウンドなど、4弦ベースの時には得られないサウンドアプローチを手にすることが5弦ベースの一番のメリットです。
使える音域が増える
4弦ベースはレギュラーチューニングで一番低い音がEですが、5弦ベースの場合はさらにその下のE♭~Low-Bを鳴らすことができます。
これは単に4弦ベースよりも低い音が出るということだけではなく、音の選択肢が広がることを意味します。
「D」であれば、4弦ベースの3弦5フレットのDを基本とした上で、5弦ベースなら1オクターブ低い5弦3フレットのLow-Dも使えることにより、広い音域でベースラインを展開できるようになります。
また5弦ベースなら半音下げチューニングで演奏する楽曲にも対応することもできます。
特に半音上がる・半音下がる場合に、4弦開放弦のEを頻繁に鳴らしていたとすると、転調後E♭が主要となる場合、4弦ベースの場合は3弦6フレットで鳴らすことになりますこれでは少し腰高なベース音と思われる可能性があります。5弦ベースならそのまま5弦4フレットのLow-E♭を鳴らすことができます。
このように5弦ベースは、重低音を鳴らすという目的以外でも選択の幅が広く、様々なシチュエーションに対応することが可能になります。
プレイアビリティの高さ
弦が1本多いことにより、ヨコ移動の多いベースラインをタテ移動で楽に弾けます。
コードによって、指板上のポジションを考えながら、ベースラインを組み立てる必要がありますが、5弦だと同じ音程を鳴らすポジションが4弦に比べ多くなるため、楽にスピード感のある演奏が可能になります。
Fのメジャースケールでベースラインを展開しようとすると、AやDを鳴らすのに4弦5フレット・3弦5フレットを押さえる。3弦開放弦・2弦開放弦を使うなど、フレット間が広いローポジションで細かくベースラインを組み立てるには、少々工夫が必要です。
5弦ベースなら5弦6フレットでも鳴らすことができるため、5弦6フレットを起点にタテ移動でベースラインを展開することで、楽に演奏することができます。
5弦ベースのメリット
アクティブへの変更
Low-B弦をしっかり鳴らすため、5弦ベースはアクティブタイプであることが多いです。
アクティブタイプのベースはベース本体内蔵のEQで細かく音作りが可能な反面、タイトなサウンドになる傾向にあります。
オープンな鳴りの4弦のパッシブベースと比べると、出音が変わり、5弦ベースは取り扱いが難しいと言われる理由の一つになっています。
4弦のパッシブベースで普段演奏しているベーシストからすると、5弦ベースである以前にアクティブタイプであることが、ハードルを上げているように感じます。
ただ現在はエントリーモデルでパッシブタイプの5弦ベースが登場していたり、4弦ベースでもアクティブタイプを使うベーシストが増えているため、以前に比べると5弦ベースはアクティブタイプだから難しい、という認識は変わってきているようにも感じます。
重量が重くなる
5弦ベースの懸念点として多くあげられるのが重量が重くなることです。
当然同じボディ・ネック・指板材を使えば、4弦ベースから5弦ベースにすることで質量が増え、パーツの質量も増えるので重くなっていきます。
ステージなどで長時間演奏をすることを考えると重量は大きな問題です。
実際のオーダーでも重量を気にされる方は多いですが
木材や構造をカスタムできるオーダーメイドにおいては、対策をすることが可能です。
木材の種類によって重量の差はかなり幅があり、同じアルダーやメイプルでも個々の重量が変わってきます。
このようなことを考慮しながら、自分で木材の指定ができることや、直接工房で木材を持って選べることはオーダーにしかない利点です。
さらにボディ内をくり抜くホロウ構造や厚みの変更によっても重量のコントロールすることができます。
値段が高くなる
基本的に4弦ベースに比べ、5弦ベースの値段は高くなります。
同じモデルで4弦と5弦を製作した場合に、まず金額が上がるポイントはパーツです。
全てが1弦分増えることで、ピックアップ・ブリッジ・ペグ、弦などの材料コストがかさんでいきます。
これは使われている木材でも同じです。
加工面でもネックや指板の形成などなど、作業量が増えることで少しずつ金額が上がります。
4弦ベースはパッシブモデル、5弦ベースのアクティブモデルという場合にはその分の金額も上がっているでしょう。
工場などで大量生産している場合にはロッド数の問題が大きいとは思いますが、弊社のようなオーダーメイド工房ではこのような要素によって値段が高くなっていきます。
4弦と5弦のサウンドの違い
5弦ベースを演奏する上で、永遠のトークテーマと言えるのが、4弦ベースとの音の違い。
同じ木材、同じ仕様で4弦ベースと5弦ベースとでは音がどのように違うのでしょうか。
SagoのClassic Style J4とJ5で比較しました。
いかがでしょうか?
・4弦の開放弦の同じ「E」であっても、4弦ベースと5弦ベースとでは音が違う。
・4弦の開放弦の「E」と5弦5フレットの「E」では、サウンドキャラクターがかなり変わる。
・4~1弦に比べると、5弦は弦自体が太くテンションが低いため、音色差がある。
ということが分かります。
Low-B弦を張ることで、ネックにかかるベース弦のテンションも変わり、楽器トータルとしてのバランスは4弦ベースよりも難しくなります。
指板上のポジションによっては音が鳴りにくい、デットポイントを感じる楽器に5弦ベースが挙げられるのも、楽器の構造上の理由が関係しているように感じます。
まとめ
今や5弦ベースはポピュラーな存在となり、ステージやレコーディングの現場で5弦ベースを演奏するベーシストをよく見かけるようになりました。
実際にオーダーでもこだわりの詰め込まれた多種多様なモデルが完成しています。
Sagoの5弦モデルは、弊社またはベースステーションリボレ秋葉原様さんにて試奏が可能です。
上記で述べた課題をSagoではどのように解決しているのか、製作事例を踏まえながら紹介していますので、気になった方はぜひこちらをご覧ください。
「Sago」は2004年に創立した、ギターメーカーです。
エレキギター・ベースを基本に、スタンダードなモデルや弊社プロデュースのモデル、フルオーダーまで幅広く製作をしています。
豊富なアイデアと技術で、お客様の理想の一本を製作させていただきます。