フレットの種類と注意点、メンテナンス方法について

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「フレット」はギター・ベースの音階を出す重要なパーツです。しかし使用すればするほど弦の摩擦によってすり減り、サウンドや演奏性に問題が出てきてしまうため定期的にメンテナンスが必要になります。

今回はそんなフレットの種類や注意点、メンテナンスについて解説していきます。

フレットとは?

フレットとは指板に打ち込まれている棒状の金属のことです。

1フレットごとに半音ずつ上下するように打ち込まれており、弦を押さえた時にフレットからブリッジの弦が振動することで音程が作られます。

このすべてのフレットの高さが一定で揃っていれば、正確なピッチで演奏することができます。

フレットの種類で何が変わる?

フレットの素材やサイズによって、サウンドや演奏性を狙うことができます。

上部の丸みの部分を「クラウン」
溝に刺さっている部分を「タング」
タングについている引っかかりを「スタッド」と呼び、

クラウンの高さや幅によって、スモール、ミディアム、ジャンボなどのサイズに分かれています。

フレットのサイズを大きくすればハンマリングやタッピングなど、テクニカルなプレーで音の立ち上がりが向上します。

反対にフレットのサイズを小さくすることで、金属的な鳴りが減り、ナチュラルな響きになります。ビンテージギターのテイストを再現するため、あえてサイズの小さいフレットを選ぶこともあるようです。

一般的な素材にニッケルとステンレスがあります。

ニッケルシルバー

銅/ニッケル/亜鉛の合金。
長年にわたり標準的に使用されており、聞き馴染みのいいサウンドと優れた加工性が特徴。
弦よりもニッケルの方が少し柔らかいため、摩擦によって凹んでいく。

ステンレス

鉄/クロム/ニッケルの合金。
耐久性がとても高く、弦よりも硬いためフレットの消耗をかなり抑えることができる。
滑らかな弾き心地で音の立ち上がりもよくサスティンがあり、ニッケルに比べ高音域が強く出やすい。

メンテナンスが必要なサイン

ギター・ベースを長年弾いていると、押弦とチョーキングなどによってフレットと弦が摩擦する部分が凹んでいきます。

コードストロークが中心のギターボーカルの方ならローフレットの1,2,3弦が摩耗しやすく、チョーキングなどをリードギターをたくさん弾くギタリストの方なら、12フレットあたりを中心に、ギターの美味しいポイントでフレットが段々と削れていきます。

フレットが凹んだ状態になると、音詰まりやビビリの原因になったり、他のフレットとの高さが合わなくなることで音階がズレるなどの影響が出てしまいます。

さらに指板側の反り・ねじれ・痩せでフレットが浮いたり、フレットのサイド部分に指が引っ掛かるバリが起き、弾きにくくなっている場合もあります。

このようなサウンドや演奏性の問題が出てきたら、擦り合わせ・フレット交換・指板修正によってメンテナンスを行いましょう。

メンテナンス方法

フレット・指板の状態によってメンテナンス方法が変わります。

すり合わせ

溝が浅い場合は、フレット上部を削り、高さを揃えて調整するすり合わせを行います。

フレット交換 (リフレット)

溝が深い・何度も擦り合わせを行っている場合は、さらに調整を行えるほどフレットの高さが足りなくなっていきます。
その場合は、古いフレットを抜いて新しいフレットと交換しましょう。

さらに上記のようなサウンドや演奏性を変えるためにフレット交換を行うのも効果的です。

指板修正

フレットを抜いた状態で指板面を削り、経年変化による波打ちやねじれを修正します。

フレットを打ち直しても他のフレットとの高さにばらつきが出てしまい、擦り合わせの際に高く出ている部分をたくさん削らないといけない… ということになるので、指板面にねじれや波打ちがある場合には指板修正をすることをおすすめします。

フレット交換の手順

上記のメンテナンス方法の中で、弊社Sagoではフレット交換・指板修正のご依頼を受け付けているため、フレット交換の手順について紹介していきたいと思います。

・フレット抜き
・指板修正
・塗装
・フレット打ち
・ナット交換
・セットアップ

の順で作業を行います。

フレット抜き・指板修正

指板には緩やかなカーブ「指板R」というものが付いています。

古いフレットを抜いた後、この指板Rに合わせて指板面を削り、ねじれ・汚れ・傷などを取り除いていきます。

元の指板Rのままの修正ももちろんですが、弊社では違う指板Rへの変更も可能です。

↓指板Rによる演奏性の違いはコチラで解説しています。

※指板の状態によっては、緩いカーブ↔きついカーブへの変更はお答えできない場合がありますので、ご相談させていただきます。

塗装

ローズなどの暗い木材の場合、オイルを塗り込んでいきます。

メイプルなどの明るい色の指板の場合は、皮脂や演奏していて付着する汚れで指板が黒く変色しないよう、ウレタン塗装またはラッカー塗装を行います。

フレット打ち

指板面を仕上げたら、新しいフレットを打ち込んでいきます。

交換するフレットは、ニッケルとステンレスどちらからもお選びいただくことができ、メーカーの指定も可能です。
お問い合わせの際に、希望のフレットのサイズや素材をご相談ください。

その後すり合わせで高さを合わせて、フレットサイドを加工します。

フレットサイドを加工することで、スライドで手を滑らせた際に、引っ掛かりなく、スムーズに移動ができます。
またチョーキングできるエリアが狭くならないよう、押弦時の横移動と弦の縦方向の演奏性を加味して、ちょうどいい具合に加工します。

指板サイドにバインディングが巻かれている場合は、バインディングを傷つけないよう、フレットのタングの両端を内側に切り落として打ち込みます。

ナット交換

ナットは交換前のフレットに合わせて溝が切られているため、新しいフレットの高さに合わせてナットを交換する必要があります。

ナットの種類もお選びいただけます。

牛骨ナット(オイルボーン)

最もポピュラーな材で耐久性がある。まとまりのあるマイルドなサウンド。オイルを染みこませたオイルボーンは弦の滑りが良い。

TUSQ (タスク)

牛骨に並ぶポピュラーな材。人工象牙のため個体差が無く、加工性もよい。弦の滑りも良い。

ブラス

耐久性が高い。フレットと同じく金属のため、開放弦とフレットを押さえた時の音の違いが少ない。

カーボン

非常に耐久性が高い。輪郭のはっきりしたサウンドが特徴。

セットアップ

その後チューニングを行い、フレット交換終了です。

現在使用している楽器が弾きにくい、音詰まりするようになった、演奏の際にフレットサイドが引っ掛かる… とお悩みの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

↓リフレットページにて自動見積もり・注文が可能です。

まとめ

フレットの基本部分からメンテナンス方法までを紹介しました。

ぜひ自分のプレイスタイルや悩みに合わせてメンテナンスを行い、演奏性を高めてみてください!

Sagoブログでは他にも基礎的な用語やパーツについて解説しています。

「Sago」は2004年に創立した、ギターメーカーです。
エレキギター・ベースを基本に、スタンダードなモデルや弊社プロデュースのモデル、フルオーダーまで幅広く製作をしています。
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