Sagoで楽器ができるまで。塗装編
最終更新日: 公開日: 製作の様子
こんにちは。
Sagoで楽器ができるまで。
今回は楽器を選ぶ上で重要な
ルックスを左右する塗装を特集します。
楽器の個性を司る非常に大切な部分です。
弊社ではソリッドカラーからバースト、グラデーション、ラップ塗装までオーナー様の理想のカラーを塗装することができます。
今回はこちらのモデルの塗装の工程を追っていきたいと思います。
1. 塗装前準備
まずは塗料を準備します。
着色用塗料はそのままでは濃いため、
クリアとシンナーを混ぜて色の濃淡を調整してきます。
1回の塗装で濃さを決めるより、
薄い色を数回に分けて、理想の濃さに合わせる方が
滑らかできれいな仕上がりになります。
また塗料を調合する際はフィルターを
通して不純物をろ過。
ボディ・ネック材に吹き付ける前に
端材でテスト。
慎重に、丁寧に作業していきます。
2.着色
ボディ、ネックについたホコリ、
木屑をエアーで吹き飛ばして、
いよいよカラーリングスタートです。
まずはボディ。
上から下、外側から内側へ、
縦に往復したら横に往復して、
丁寧に塗っていきます。
マッチングヘッドなので、
ヘッドトップも塗っていきます。
初回の着色はこんな感じ↓
ここから5~10分おいて、2回目の着色↓
さらに時間を少し空けて、3回目の着色↓
シースルーの場合は木材自体の色味も
考慮しながら重ねていきます。
着色塗料は青色ですが、
プレーンメイプルトップの木の色が
黄色っぽいため、
この段階ではエメラルドのようなカラーに。
3.ラップ貼り
今回はラップ塗装のため、
下地のカラーがいい感じになってきたら
クリアの塗料を吹いていきます。
そこにくしゃくしゃにしたラップを広げて、
ボディやヘッドトップに貼っていきます。
するとランダムに模様がつき、
同じカラーでも毎回違うデザインが生まれます。
ラップを貼ってしばらくしたら、
上半分、下半分を剥がしてクリアを塗り重ねます。
4.カラーを上塗り
今度は上に乗るカラーを重ねていきます。
ボディ下部の紫色のところを作るために、
赤色を吹いていきます。
グラデーションでは複数のカラーを
重ねることで、目的としている色味を
狙っていきます。
そしてエメラルドと紫の間にくる
濃い目のブルーがくるように、
暗めの青を吹いていきます。
だんだんと滑らかなグラデーションへ
色付いてきましたね。
もう一度、赤、青を塗るとこんな感じ↓
そしてトップコート(上塗り)を重ねていきます。
このトップコートを施すことにより、
美しい光沢を出したり、着色層を保護します。
5.塗装の研磨
塗装と言うと、塗るところばかりに
目が行きがちですが、
研磨も非常に重要な工程です。
特にラップ塗装ではラップを貼った
凹凸を紙やすりで削ることで、
独特の模様が現れます。
上塗りしたカラーが削り取られると、
下地のカラーがこのようにランダムに現れます。
ラップ塗装は研磨によっても
デザインが変わってくるので、
削るセンスも問われています。
6.ウッドピックアップカバー
OveやRidill、時雨、Ximera Arixなどに
採用されているSago特製の
ウッドピックアップカバー。
一見するとプラスチックのカバーに
見えるこちら、NCルーターで加工し、
黒く塗装しています。
またオーダーモデルでの対応となりますが、
ボディと一体になるようなカラーリング、
デザインにすることも可能です。
※別途加工費用あり、要相談。
7.シースルーブラウン
本モデルのボディサイド及びバックは
UNISON SQUARE GARDEN、田淵智也さんの
Style-J Tabuchi Custom
(初回オーダーモデル)のようなカラーに。
サーモアルダーの茶褐色を生かし、
薄めにブラックを吹くことで、
チャコールのような色味に。
色味についてもマテリアルや、
オーダー頂く方からのアイディアを活かして
1本ずつお作りしていますよ。
8.ナチュラルバインディング
ラップ塗装とシースルーブラウンの
境界線にはナチュラルバインディングを
施しています。
マスキングテープでラインをつけることで、
元の木目が見えます。
このプリンみたいなところ、
Arxiの特徴的なデザインが
活かされていていいですよね 笑
9.ロゴマーク
Sagoブランド及びXimeraのロゴは
塗装の工程で貼り付けしています。
塗装の途中で貼りつけて、
トップコートでロゴを覆っていきます。
研磨とトップコートの繰り返し、
合計約10回にも渡って行なっています。
最後にバフで磨き上げれば、ボディがピカピカに。
↓ ↓ ↓
10.まとめ
塗装の工程は一見華やかに見えますが、
中々根気のいる作業でもあります。
しかしオーダー頂くお客様が
特に期待を持っているのが、
楽器のルックスや仕上がり。
Sagoではステージに持っていきたいと
思える楽器、その人をかっこよくする
楽器を作りたいと考えておりますので、
ルックスは特に重要視しています。
またラップ塗装は木材を選ぶような
一期一会の出会いを塗装で表現できます。
次回はセットアップ編です。
パーツを組み込んでいき、楽器がいよいよ
完成するところをお伝えさせて頂きます。
お楽しみに。