JBタイプのピックアップをリニューアル
こんにちは。
Sagoのピックアップブランド、
L(x) より、ジャズベースタイプ用の
ピックアップ(以下PU)がリニューアルしました。
このPascumillerd – パスカミラード – PUは
Style Jに標準搭載しており、
お使いの方からもご評価頂いているモデルです。
2023年10月より【JBタイプ】L(x) BJ4に名称変更しました。
今回はPUのリニューアルしたポイントや、
日々ピックアップで研究していることを
紹介していきたいと思います。
1.新PUの特徴
以前のモデルでは”Violet”と
Sagoで呼んでいるポリウレタン皮膜の
42AWGを使用していました。
マグネットワイヤーを取り扱っている協力会社より、
”Red”を試しに使ってみないかと
お声がけ頂きSago工房で巻いてみたところ、
音のキャラクターや存在感がSagoらしく、
非常によかったので、レギュラーラインナップの
PU用マグネットワイヤーとして採用しました。
ジャズベースタイプに必要な低音の力強さと
高音のキレがしっかりと出ており、
アンプ直で音作りが完結できるPUを目指しました。
そしてこの度、ターン数やテンションなどの
レシピはそのままに”Red”に変更しました。
この”Red”は”Violet”のキャラクターに近く、
よりバランスよく馴染みやすいサウンドになりました。
なおポールピースはアルニコ5。
こちらは従来の仕様から変更ありません。
2.PU制作の様子
以前こちらのPUについて、
ブログで紹介させて頂きましたが、
マグネットワイヤーを巻く上で、
音が変わるポイントをおさらいします。
・巻くスピード、テンション
スピードが速いとマグネットワイヤーの
テンションが上がるので音が締まる傾向にあります。
ボビンのサイズによって、バネの強さと
巻くのスピードを変えています。
・巻くピッチ(間隔)
ピッチが広いと重なり合う、
往復するポイントが増えます。
また同じ巻き数であってもピッチが広くなれば、
マグネットワイヤーの長さも比例して
長くなるため太めの音になり、
外観的にも太く仕上がります。
ピッチが狭くなればスマートで、
タイトなサウンドに。
・巻く量(出力)
巻く量は出力の大きさが変わります。
巻く量を増やすことで、ゲインが大きくなります。
一方で音がぼやける傾向にもあり、
繊細なサウンドコントロールが求められるモデルでは
巻き数を若干少なめにすることもあります。
・巻き方
マグネットワイヤーがボビンの中を
単に左右に往復するだけではありません。
クロスさせて巻く(クロスポイント)と、
独特の倍音が現れて、立体的なサウンドを
演出することが出来ます。
またボビンの上段→中央→下段のように
ボビンのエリアを分けて巻くこと(ブロック巻き)により、
余計なローエンド、ハイエンドを軽減させ、
ビンテージ風のミドルを作り出す、
といったこともできます。
これらを組み合わせて、
狙いのサウンドキャラクターや
音響的にバランスの良いピックアップを
製作しています。
Pascumillerd – パスカミラード – PUでは
4種類の巻き方を7つのプログラムで構成しています。
詳しいレシピは企業秘密ですが、
JBタイプのPUとしては巻き数は若干多めで、
パワー感のある仕上がりにしています。
3.線材をいろいろと比較
せっかくなので、他のマグネットワイヤーも
同じレシピで巻いてみて、
サウンド比較してみました。
動画では
①バイオレット ”Violet”
②レッド ”Red”
③プレーンエナメル ”Plain Enamel”
④ヘビーフォームバー”Heavy Warm Bar”
の順で、ピック弾き、スラップ、指弾きで
聴き比べできます。
更に視覚的にも違いが分かるよう
Analyzer をかけて周波数の分析を行いました。
①バイオレット ”Violet”
②レッド ”Red”
③プレーンエナメル ”Plain Enamel”
④ヘビーフォームバー”Heavy Warm Bar”
Analyzerで見比べてみると各帯域の山の出方は
似た傾向にありますが、”Red”と”Violet”は少し低音側(65−125Hz)に
盛り上がりがあり、高音(2,000Hz~up)についても
”Red”は他と比べて若干盛り上がりが大きいです。
サウンドの傾向が結構違うので、
木材やモデルによって
マグネットワイヤーを使い分けるなど
楽器作りのヒントになりそうです。
4.まとめ
Sagoで研究を続けているピックアップ。
この他にもポールピースの位置をSagoなりにCustomしたり、
マグネットワイヤーの巻き方、巻き数を変えてみたり。。
Sagoのサウンドを追求すべく、
ピックアップ製作を続けていきます。
みなさんからの音の感想やリクエストに基づき、
これからの楽器作りの参考にしたいので、
YouTubeや各SNSでのコメント、
お待ちしております。