田淵智也氏 Classic Style J4 Custom編【アーティストモデル特集】

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こんにちは。
今回アーティストモデルとして特集するのは、UNISON SQUARE GARDENのベーシスト
田淵智也さんの「Classic Style J4 Custom」です。

ベースマガジン2019年8月号では表紙に登場し、
ベーシストとしてだけでなく、
コンポーザーとしても非常に注目度の高い内容でしたよね。

Classic Style-J Tabuchi Customは
ジャズベースタイプとしながらも、
そのゴリゴリとしたサウンドキャラクターは
一般的なジャズベースとはまるで別物です。

以前にお使いのベースの
サウンドキャラクターを生かしつつ、
よりアンサンブルでの音抜け、存在感を発揮したものが欲しいとのことでオーダー頂きました。

1. サーモアルダーボディ

ボディ材にはサーモ処理を施したアルダーを採用しています。

通常のアルダーに比べて、
ワイドレンジな出力となる一方、
音が軽くなる傾向があるため、ボディ圧を通常のジャズベースの42mmから45mmにしています。
ボディ圧を稼ぐことで音が腰高にならず、
アンサンブルで必要とされる低音域を補い、
トータルレンジを考えた設計にしました。
またサーモ処理を施すことにより軽量になります。

2. ネック

以前お使いのベースと同じ演奏性にしたいとご要望を頂きましたので、
カスタムグリップと言って既存の楽器のネックを採寸し、同じネックシェイプを再現しました。
ご愛用の楽器を1~2週間お借りし、グリップ形状を近づけます。
塗装に入る前にネックに触れてチェックすることもできますよ。

ボディー、ネックともに
通常のジャズベースより木材の質量が多いため、重みのあるサウンドに仕上がっています。

またグリップ形状に加え、
ナット幅も通常のジャズベースが38mmのところ、39mmに設定しています。
さらにネックの厚さも通常のジャズベースより1mm厚くに設定しています。
このような細かい仕様でも対応出来るのがオーダーメイドのいいところです。

3. エボニー指板

アタック感と音の立ち上がりの良さを考慮し、ジャズベースタイプの指板としては珍しくエボニーを選定しています。
田淵氏のサウンドキャラクターやまとまり感を構築するにあたり、ウッドマテリアルによる影響は大きく、オーダーの打合せ時にアーティストご本人のご要望を聞きながら決めていきます。

4. ブラスナット

金属的な鳴りが特徴のブラスナットは牛骨ナットと比べると音が太く、重みのあるサウンドです。
また開放弦と押弦時のサウンドの差が少なくなります。

5.軽量ペグ

軽量ペグのGotoh製GB528は一般的なペグと比べると一回り小さく軽量で、チューニングの精度もよいため、信頼感があります。
なおこの軽量ペグは通常のClassic Style Jのヘッドでは設計上取り付けできないため、Sagoオリジナルのヘッドシェイプを用いています。

田淵氏はカメラが見切れると言われるほどステージ上でのアクションが激しいため、取り回しの良さも重視しております。

6.ピックアップ

完成してからサウンドキャラクターを見直し、現行のピックアップはBare Knuckle製PE 60 J BASSを搭載しています。
Bare KnuckleはイギリスのSouth Westに自社を構えるビンテージPAF系のハンドワイヤードピックアップを制作している会社です。

PE 60 J BASSは厳選された42AWGプレーンエナメルワイヤーが手巻きされており、ローエンドの力強さ、パンチのあるサウンドが特徴的です。
適度な暴れ感もあり、指弾きでもしっかりタッチが分かるのはピックアップの恩恵も大きいです。

木材の組み合わせとピックアップとのバランスも理想のサウンドを作り上げる上で重要となるため、完成してからもアーティストご本人から意見を頂き、カスタムを繰り返しています。

7. ボディカラー

一見塗りつぶしの黒に見えますが、よく見ると深いチャコールのようなカラーです。
このCustom Colorも田淵氏からのオーダーで、サーモアルダーの茶褐色の色味を生かすため、木目が見えるシースルーのブラックで塗装を施すことにより、Dress Blackとは違った独特の渋いカラーが生まれたのです。

なおピックガードはこちらもただのホワイトではありません。ほんのりイエローに近いホワイトカラーのパーチメント。「S」マークをつけてSagoらしさを表現しました。

8.まとめ

以上となりますがいかがでしょうか?
田淵氏をはじめ、アーティストと一体になって楽器作りをすることでクオリティの高いギター、ベースをこれからも追求していこうと思います。