Sagoで楽器ができるまで。(Ximera Arxi セットアップ編)
こんにちは。
Sagoで楽器ができるまで。
今回は出張編ということで、
Ximeraのセットアップを担当して頂いている
ラムトリックカンパニーさん(Sonic)での
セットアップの様子をお届けします。
Sagoで木工、塗装が完了したボディや
ネックがどのように組み上げられて
いくのでしょうか?
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1.フレット・ネック仕上げ
Sagoで木工やフレット打ちが完了している
ネックですが、演奏しやすいように、
ラムトニックカンパニーさんで仕上げて頂いています。
フレットの側面をヤスリで研磨していきます。
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指板上で使える範囲を広く、またスライドをしても
スムーズな弾き心地になるよう、
角を適切に落とし、磨いていきます。
今回はベースですが、特にギターでは
チョーキングできる範囲が広いと
プレイアビリティが向上します。
ジグを当てて光がもれていないか見ることで、
ネックの剃りがないか入念にチェック。
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ネックがきっちりと真っ直ぐになったら、
フレット全体を磨いていきます。
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研磨してならしていくことで、滑らかになり、
スムーズな弾き心地になるよう
仕上げて頂いております。
バフを当てて、
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レモンオイルで仕上げていきます。
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2.ピックアップ
Sonic秘伝のレシピで作るJupiter Pickups。
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コイルを巻いた後はロウで漬け込みます。
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真空状態にすることで、ロウの沸点が下がり沸騰します。
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こうすることでロウがコイルに浸透し、
コイルがほどけず密着します。
コイルがしっかり密着することで、
ボディ内で共振を防ぎ、
ノイズの原因とならないようにしています。
ピックアップのカバー裏面には導電塗料を塗り、
ノイズ対策は徹底して行って頂いております。
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そしてXimera Arxiには音を拾うコイルとは別に
ノイズキャンセル用のダミーコイルを搭載しています。
ピックアップキャビティは2段構造となっており、
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上から
・ピックアップカバー
・音を拾うピックアップ
・スポンジ
・ノイズキャンセル用ダミーコイル
という構成。
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これにより、片側のピックアップのみで
鳴らす際にノイズがほぼ出ません。
通常のフェンダースタイルのベースでは
構造上ノイズキャンセル用のコイルを
収納する場所がありません。
Ximeraを企画する段階でSonicの竹田さん
よりリクエストを頂き、設計後、CNC加工で
ピックアップキャビティを2段に加工しました。
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3.ネックジョイント
ボディとネックを合わせる最も重要な工程。
木が持つ水分でネックが季節によって
伸縮するため、きつすぎず、ゆるすぎず、
きりタンスのようにすっと入るよう調整していきます。
専用のジグでセンターを合わせて
ネックポケットを微調整していきます。
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ネックジョイントの仮合わせが出来たら、
ネックポケットにラムトニックの刻印、
セットアップした日付を入れます。
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ジョイントは6点止め、
ビスで止める前にビス穴を微調整します。
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4.ハードウェア
Ximeraのハードウェア選定、
こちらもラムトニックカンパニーさんにて
ご対応頂いております。
4-1.セパレートブリッジ
まずはブリッジ。
ベース弦が載るサドル下のプレートと
それ以外の部分が分かれていて、
プレート部分の交換が可能な
Sonicオリジナルのセパレートブリッジ。
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基本のスチールの他に、
派手な鳴りとロングサスティーンが
得られるブラス。
音の分離感、ウッド感が魅力の
エボニーがラインナップされています。
弦振動がブリッジを経由してボディに
伝わっていくため、こうしたハードウェアの
選定によってサウンドキャラクターが形成されます。
プレートを交換することで、
音のニュアンスを変えることができます。
ちなみにサドル部分の材質はチタンです。
なお5弦ベース用のブリッジは
4弦と同様の19mmピッチ。
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4弦と同じ弦間であるため、
5弦ベースへ持ち替えた際も
違和感なく演奏ができます。
4-2.ペグ
ペグはGOTOH製のGB528-Bを採用。
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軽量かつチューニングの信頼度も高いです。
チューニングに関わる重要なパーツなので、
しっかり取り付けていきます。
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4-3.オイルド・ボーン・ナット
こちらもSonicのオリジナルパーツ。
無漂白の牛骨をSonic特製の
フォーミラーオイルに浸したナットです。
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摩擦が少なくチューニングの安定性に
繋がるほか、ナットの寿命が長いのが特徴です。
4-4.ストラップピン
ストラップピンはSCHALLER(シャーラー)の
S Lockを採用。
簡単に取り外しができる上、
ストラップが外れないよう
しっかりロックしてくれます。
ストラップピンが真っ直ぐ取り付けられるよう、
平らな面を作っています。
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なおサーモ処理した木材は加工が
しやすい反面、木材が柔らかいため、
ハードウェア取り付けの際は注意が必要です。
接着剤をねじ穴に流し込んでから
ストラップピンを取り付けています。
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5.コントロール部
竹田さんが得意とする電気系統の配線作業。
配線は長すぎると外部からのノイズの
原因になりますし、短すぎると何かあった際に、
断線の恐れがあります。
適切な長さで綺麗に配線を整えて、美しい仕上がりに。
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5-1.キャビティパネル
キャビティパネルの裏にもシールド材を貼り付け。
ノイズ対策は徹底して頂いております。
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5-2.フルアップポッド
ポッドはSonicオリジナルのフルアップポッドを採用。
フルアップボリュームポッドと
フルアップトーンポッドの2種類があり、
これらはフルテンの状態だと抵抗がかからず、
活気のあるクリアなサウンドが得られます。
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5-3. プリアンプ
プリアンプにはSonicオリジナルの
Bonheurを搭載しています。
ローミッド(300Hz・下段)、ハイミッド(1kHz・上段)
という構成でミドルを集中的に取り扱うことができます。
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アクティブ臭い、音が硬い、という
アクティブタイプのベースならではの
懸念点を払拭したプリアンプです。
5-4.コントロールレイアウト
ネック側から
・フロントボリューム
・リアボリュームトーン
・プリアンプ
という構成です。
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トーンを引っ張るとプリアンプを
バイパスしパッシブに。
丁寧にセットアップして頂いてますので、
パッシブでもしっかり鳴りますよ。
ちなみにこのミニスイッチは
シリーズ/パラレルの切り替えスイッチです。
通常のArix5にない仕様ですが、
お客様のご要望により、
特別に取り付けて頂きました。
シリーズでは低音がプッシュされ
太いサウンドが得られます。
5弦のLow-B弦でロングトーンを弾く際に、
迫力があります。
6.まとめ
竹田さんをはじめラムトニックカンパニーの
皆さんで仕上げるXimeraのギター・ベース。
完成品をじっくり観察したり、
試奏で鳴らしてみて、Sagoとはまた違ったサウンド、
演奏性を体感しております。
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セットアップを徹底してシビアに行い、
高いクオリティのギター・ベースが完成するところ、
いつも勉強させて頂いております。
こうして完成したXimeraのベース、
気になる方はぜひSago工房でも試奏出来ますので、
お試し下さい。
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