【国産材】和材はギター・ベースに使えるのか?

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ギター・ベースに使われる木材といえば、やはりアルダー・アッシュ・マホガニーなどの洋材が思い浮かびますよね。

そんな代表的な木材は海外の品種がほとんどですが、日本の木材「和材」を使用したギター・ベースを皆さんは見たことありますか?

作られてはいますが見かける機会というのは結構少ないんじゃないでしょうか。Sagoはオーダーメイド工房ということもあっていろんな木材を使う機会が多いのですが、ここ数年「和材」を使用したモデルを製作することが増えてきました。

ということで今回は製作した楽器を紹介しながら、和材について解説していきたいと思います。

どんな和材がある?

ギター・ベースに使われている和材といわれて思い浮かぶのは、昔アッシュの代用品として使われていた「セン」や見た目のインパクトが強い「黒柿」アコースティックギターなどにも使われる「桜」などでしょうか。

そもそも和材って楽器に使えるの?あんまり見たことがないから想像がつかない。という方もたくさんいると思いますが、実は和材にもたくさん種類があってよく使われている洋材に近い傾向のものやその和材にしかない独特の音のクセがあるものなど様々です。

製作してきた楽器を基に紹介していきますが、現段階で作った楽器の音や材の特徴になるのであくまで参考としてご覧ください。

楓 カエデ

ジャパニーズメイプルとも呼ばれる楓。
日本で採れるメイプルで、特徴はハードメイプルと同じく硬めでトップ材やネック材に適しています。
杢も綺麗で、和材の中ではかなり木肌が白いためシースルーの塗装でもカラーを生かした仕上げにすることができます。

栃 トチ

少し柔らかめで絹のような光沢のある木材です。
栃は杢も豊富で綺麗なのでフレイムやフィギュアド、細かいカーリーなどトップ材でオーダーいただくことが多いですね。
白いものから少し黄色がかったものが多く杢がはっきりしているのでシースルーなども綺麗に塗装できます。

欅 ケヤキ

欅は和材を入荷し始めてから比較的多く作っていて、見た目の印象もサウンドも好評な木材です。
ハッキリとしていて豪快な木目がめちゃくちゃかっこいいですよね。
色味は濃くオレンジ色で、写真のようにナチュラル仕上げでもかなりの存在感があります。
サウンドは発音のいいパリッとしたアタックと力強いミドルが魅力です。

栗 クリ

栗は最初に挙げたよく使われる木材の中でアッシュに特徴が似ています。
軽いものはライトアッシュ、重いものはホワイトアッシュのような特徴です。シングルコイルだけでなくハムバッカーとの相性も良くて、ほどよい高音感のあるおすすめの材です。
色味は少しくすんだ黄色で、導管が結構大きめなのでシンラッカーなど薄い塗装も◎

栴檀 センダン

ジャパニーズマホガニーとも呼ばれている栴檀。
マホガニーと同じセンダン科なので、マホガニーに近いサウンドを持っているんじゃないかと思い選びました。
製作してみた印象としても近く、和材でそういった音を狙っている方におすすめです。

朴 ホウ

材質としては軽く適度な粘りがあり、栃と近い柔らかさです。
派手な杢がでていてギラギラしているのに渋さのある雰囲気がかっこいいですね。
心材の方は緑っぽくくすんだ濃い色で、辺材はグレーっぽい薄めの色味が特徴的です。

黒柿 クロガキ

実のなる柿の木で、基本的には白い木材ですがたまにこのように黒く模様の入ったものがでてきます。
製作してみた印象としては、堅いイメージが強いと思いますが同じカキノキ科のエボニーほど堅くはなかったですね。
惹きつけられるような見た目をしていることもあってトップ材に使用されることが多いです。
この水墨画のような唯一無二の見た目はたまらない。。

柞 イス

柞は日本の木材の中で一番重くて堅い材とされています。
銘木屋さんにて見つけた柞は右の画像の濃い木材だったんですが、これはかなり希少性の高い材で一般的な柞は左の画像のような見た目で少し淡い色をしています。
Sagoでは製作本数が多めの柞ですが、木材としてそんなに流通が多いものではないようです。

樫 カシ

樫は他の和材に比べて堅さと粘りがあり、反りや耐久性にシビアなネック材にも使える材です。
昔から工具の柄の部分など強度がいる部分に使われてきた材との事で、ネックでも使えるのではと選んだのですが実際にベースの張力に耐えれる強度を持っていました。
樽にもよく使われていて水分に強い木材なのでオイルフィニッシュで仕上げた場合でも汗や湿度による反りに強いのではないかと期待しています…!
虎斑杢という杢が出る木材で、指板の杢とはまた違う模様なんですが、どちらもすごくカッコいい見た目なんですよね。

製作してみた感想

和材ならではの見た目の雰囲気やそれぞれの特徴について紹介してきました。

音については大きく洋材と和材で見ると、和材は総じて新品特有の角っぽさのないこなれたサウンドになる印象を受けました。

特に「欅」や「栗」のボディ材、「樫」のネック材は特に、木材自体の流通量やサウンドの良さ使いやすさなど含めてこれからどんどん使っていきたいですね。

スタンダードな洋材達も木材不足によって価格が高騰していることもあり、うちのオーダーメイドではそんなに木材の値段も変わらなくなってきましたし、これからの選択肢としても和材をたくさん試してより細かいサウンドや特徴について知識を深めていきたいと思います!

和材で今まで製作したモデルの一覧 & 木材の一覧はこちらから

今回紹介している木材の他にも工房には、いろんな材を保管しているのでぜひ気になった方は「木材倉庫ギャラリー」を見ていってね