ダウンチューニングのデメリットを解決する半音下げ~2音半下げスケール

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ダウンチューニングとは、半音下げ、一音下げ、1音半下げのように、レギュラーチューニングの状態からすべての弦の音階を均一に下げる方法です。

ダウンチューニングの最大のメリットは、低い音が出せる ということあり、チューニングを下げた分だけ低音域が広がっていきます。そうしてレギュラーチューニングでは出せなかった低音が拡張されていき、よりヘヴィなサウンドが表現できるようになります。

一般的に、弦を緩めることでダウンチューニングを行います。

半音下げチューニング
(低音弦から高音弦に向かって)

ギター: E♭, A♭, D♭, G♭, B♭, E♭
ベース:E♭, A♭, D♭, G♭

しかし、弦を緩ませることで音程を下げるチューニングには様々なデメリットや問題も発生します。

今回は、そんなダウンチューニングのデメリットの部分について着目しながら、そのデメリットを大幅に解決できる「半音下げ~2音半下げスケール」について紹介していきたいと思います。

ダウンチューニングを頻繁に行う方や、ストレス感じている方にとてもおすすめです。ぜひ最後まで読んでいただければと思います。

ダウンチューニングの悩み

ダウンチューニングをするときの悩みとして、

・レギュラーチューニングとのチューニングの切り替え
・弦のテンションの差による違和感
・音程感がなくなる
・ポジションマークがずれる
・シビアなセッティングができない

などが挙げられます。

演奏性がレギュラーチューニングの状態とかなり変わってくるので、対策をしておかないとシンプルに弾きにくいです。

さらにライブでレギュラーとダウンの曲を続けて演奏する場合には、短時間の大幅なチューニングはネックの反りや演奏時のチューニングのずれにつながるので、レギュラーチューニング用のギターとダウンチューニング用のギターを2本用意しておく必要が出てきます。

半音下げ~2音半下げスケールとは?

そこで考えられたのが、通常のスケールに対し低音側にフレットを増やしていく「半音下げ~2音半下げスケール」です。

イメージとしては、一般的なギターの0フレットの位置は変わらず、その先に1フレットずつ伸びていきます。

そしてその伸びたフレット分、ダウンチューニングの状態と同じように演奏をすることができます。

2フレット伸ばした場合:1音下げ、
5フレット伸ばした場合:2音半下げの音階になります。

この半音下げ~2音半下げスケールの場合、チューニングを変えることなく、カポ移動のみで半音下げや1音下げの状態を作ることができます。

さらにダウンチューニングの時のように、下げた音階分の高音が減ることもないのでハイポジションでの演奏もレギュラーと同じようにリードギターを弾くことができます。

半音下げ~2音半下げスケールのメリット

・弦のテンションが緩まない

通常の弦を緩めるダウンチューニングの場合、弦を緩ませることでテンションが低くなり、そのぶん音にも張りがなくなります。

細い弦では張力が低いとベロンベロンのサウンドになってしまうので、太い弦を張りレギュラーチューニングの張力に近づけますが、ナット溝は元の弦のゲージに合わせて削られているため、太い弦に合わせて削り直さないといけません。

さらに振動する幅も大きくなることでバズも出やすくなります。

半音下げ~2音半下げスケールでは弦を緩ませないので、元の状態から弦の張力を変えることなく演奏ができます。

そのため弦のテンション感の差による違和感もなく、しっかりと音程感のある低音を出すことができます。

弦の太さを変える必要もないので自分の好みに合った弦のまま演奏をすることができます。

・チューニングを変えなくていい

先ほどもお話したように、レギュラーチューニングとダウンチューニングどちらも演奏する方にとっては、頻繁にチューニングを変えることはかなり手間ですよね。

このスケールの場合、カポ移動のみでダウンチューニングができるので、手間を大幅に省くことができます。

特にフロイドローズなどのチューニング精度が高く、弦交換やチューニング方法が複雑なブリッジを使用されている方にとてもおすすめで、実際のオーダーでもフロイドローズを使用されている方からのスケールのカスタムをよくいただいています。

今までレギュラーチューニング用のギターとダウンチューニング用のギターを用意していた方でも、半音下げ~2音半下げスケールのギターがあればライブやスタジオなどの持ち運びが一本ですむのでそこもかなり楽になるポイントではないでしょうか。

・ポジションマークが変わらない

弦を緩めるダウンチューニングを行うと、その分ポジションマークがずれていきます。

すでに慣れている方やオープンコードなどで弾く際には影響は少ないかもしれませんが、ハイポジションやソロを弾く際に、ダウンでの音程とレギュラーのポジションマークの位置によって演奏中に混乱してしまう方も多いのではないでしょうか。

半音下げ~2音半下げスケールでは、ダウンの場合にカポを下げると低音弦側にフレットが増えるので、ポジションマークの位置と実際の音がずれることなく演奏することができます。

さらに弊社ではポジションマークの位置もカスタムすることができるのでご自身が分かりやすい位置にポジションマークを付けることができます。

↓635mmスケール24Fから低音側に2F伸ばした705mmスケールのモデル

Sagoギターモデル

↓↓635mmスケール24Fから低音側に3F伸ばした755mmスケールのモデル

・シビアなセッティングが出来る

弦のテンションの部分でもお話ししましたが、弦を緩めるダウンチューニングの場合、それによって起こるテンションの緩みに弦を太くすることで対応したり、緩むことで弦が揺れる幅が大きくなり弦高の低いセッティングにできなかったりと、ダウンチューニングにするために演奏性を我慢しないといけない部分がたくさん出てきます。

その点、レギュラーチューニングの状態と変わらないセッティングを行うことが可能です。

・7弦と同じ音域を出せる

低い音を出す選択肢の一つとして「7弦ギターにする」というパターンもありますよね。

そこに着目すると、紹介している半音下げ~2音半下げスケールの2音半下げスケールは7弦と同じ音域を鳴らすことが出来るスケールになっています。

7弦ギターの場合コードフォームを覚え直す必要がありますが、2音下げスケールではコードフォームを変えずに演奏することができます。

さらに7弦だとパーツも7弦用のものが必要になるため選択肢が限定的になりますが、このスケールでは通常の6弦パーツがそのまま使えるため選択肢も広いです。

ただスケール的には839mmと、ベースと同じくらいの長さになるので、オリジナルモデルの場合はボディバランスを考えた設計が必要になります。演奏性の面でもフレットが遠く感じる方もいると思いますので、7弦を選んだり、そこまでの音域を使わない方は1音下げスケールにするなど自分の好みに合わせてお選びください。

※スケールを伸ばす際は弦の長さに注意が必要です。メーカーによっては弦が届かな場合があります。
(弊社モデルでは桜村眞さんの虎徹モデルの仕様でD’Addario(ダダリオ) ELIXIR(エリクサー)が使用できます。)

まとめ

今回紹介した「半音下げ~2音半下げスケール」いかがでしたでしょうか。

このカスタムは基本的にどのスケールにも応用が可能です。
ミディアムスケールやフェンダースケールなどお好きなスケールをお選びください。

・さっきのモデルみたいに7弦の音階まで出したい。

・基本半音下げまでしか使わない。

・1音下げくらいまであると嬉しい…。

などなど人それぞれあると思いますので、ぜひ自分のプレイスタイルに合わせて最適なフレット数を選んでいただければと思います!

↓弊社ではネック製作も行っていますのでお悩みの方はぜひご相談ください!

なおベースではスピッツのベーシスト田村明浩さんの「半音下げベースの製作」を行いました。

動画でも紹介していますのでぜひチェックしてくださいね。