Seed Kirinを初心者向けに解説
最終更新日: 公開日: ギターモデル
こんにちは。
和楽器バンド のギタリスト:町屋として
活躍する桜村眞さんのアーティストモデルである麒麟。
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Sagoのオーダーでもアーティストモデルとして
そのままオーダー頂いたり、カラーやピックアップの
レイアウトをカスタムしたりと、
これまでにたくさん製作させて頂きました。
待望の麒麟 Seed ver.が登場ということで、
今回Blogで入荷前に詳しく紹介させて頂きます。
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YouTubeでご本人に解説して頂いています↓
Sagoスタッフの紹介はこちら↓
1.Seed Kirinとは?
アーティストモデルをより身近に、
これからギター・ベースを始める「種」
としてSeedブランドが誕生しました。
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アーティストにて設計監修の元、
中国の協力工場で量産することで、
お求めになりやすい価格帯を実現しています。
入荷後Sago工房にて、1本ずつ検品、
調整を行なっており、初めてギター・ベースを
手にする方に安心して演奏して頂けます。
近年はアーティストご本人が入荷日にお越し頂き、
最終のプレイアビリティチェックが
行われるのが恒例行事にもなっています。
桜村さんとNovelbrightの沖聡次郎さんに
検品にお越し頂きましたよ↓
そしてSeed Kirinは待望の桜村さんの
Seed Model第二弾ということで、
前回ご好評だったSeed Kotetsuに引き続き、
長いネックを採用したモデルです。
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各部にこだわりポイントがあるので、
一つずつ紹介していきます。
2.少し長いネック
Seed Kirinの大きな特徴である少し長いネック。
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スペックには
Scale: 705mm(26F)
とありますが、
一般的な24フレットのギターへ低音側に2フレットプラス
した特殊なネックです。
スケール的には628mmの
ミディアムスケール(通称ギブソンスケール)に
低音側へ2フレット追加したとお考えください。
一般的なギターの開放弦(6→1弦): E/A/D/G/B/E
に対し
Seed Kirinの開放弦(6→1弦): D/G/C/F/A/D
つまり通常よりも2フレット分低い音域で演奏できます。
桜村さんはカポタスト(別売/以降カポ)を使うことにより、
ステージで瞬時にチューニングを変えるプレースタイル。
カポはアコギなどで、開放弦を有効的に使う
(弾きやすいコードフォームで弾く)ため、
一般的にはチューニングを上げて使うことが多いです。
それに対し、Seed Kirinでは
通常よりも2フレット低い音域の状態から
・カポなしで通常のギターの一音下げチューニング
・カポを1フレットに装着すると半音下げチューニング
・カポを2フレットに装着するとレギュラーチューニング
にすることができます。
通常のギターでも弦を緩めれば
一音下げや半音下げチューニングにすることが
可能ですが、弦のテンション(張り)が
緩くなることにより、
演奏がしにくくなったり、
いくつか弊害があります。
Seed Kirinはカポタストの移動だけで
チューニングの変更ができるので、
しっかり張りのあるサウンドで
低音域も演奏ができます。
2.木材
ギター選びの話題に上がる一つとして、
木材が挙げられます。
サウンドの基本となるマテリアルであり、
演奏性に直結するネックの手触りや
ルックスなど、様々な観点から
木材を選んでいきます。
ボディバックにはマホガニー。
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マホガニーはボディの定番の一つで、
中低音にエネルギーがあり、
サウンドに粘りを感じる木材です。
後ほど説明するハムバッカーピックアップとの
相性が良いことからSeed Kirinで採用しました。
ボディトップはウェンジ。
こちらはSago ver.と同じ選定です。
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ボディトップの外周は
リバースR加工しており、
正面からギターを見た時に
ボディバックの木材が見えます。
なおボディのおしり側は半月型に加工しており、
ギターを縦に弾く際に2段階で脚の入れ方を
調整することができます。
ネックにはハードメイプル。
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ハードメイプルはネックの定番の木材で、
硬く、強度はバッチリで、
Seed Kirinの少し長いネックであっても
安心してお使い頂けます。
指板にはローズウッド。
ローズウッドも指板の定番木材であり、
硬く、メイプルに比べるとダークな
音の印象です。
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桜村さんは速弾きやギタースラップなど、
多様なスタイルで演奏するため、
立ち上がりの速いサウンドを狙って、
こうした硬い木材をネック・指板に
お選び頂くことが多いです。
全体としてもスタンダードな木材で
構成されており、素直に鳴ることから、
ギターの練習を行う上でも
ピッタリなのではないでしょうか。
3.ピックアップ
ピックアップ(以降PU)はギターの弦振動を
拾うマイクのようなパーツです。
ギターのサウンドキャラクターを決めるPUは
シングルコイルやハムバッカーなど多種多様にあり、
またコイルの線材やポールピースの種類、
コイルの巻き方や巻き数によっても
サウンドは大きく変わります。
完成後にギターサウンドの
ブラッシュアップのため、
まず検討に上がるのがPUの交換であるため、
非常に重要なパーツです。
Seed Kirinはシングルコイルサイズで製作された
ツインレールのハムバッカーPUです。
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通常のハムバッカーPUはこのような形状なのですが、
L(x)Lite Kirin Twin Railは半分のサイズです。
サイズが半分の利点としては
ストラトキャスターなどの
シングルコイルのギターへザグリ加工なしで
搭載することができること。
サウンドの傾向として
ハムバッカーとしては立ち上がりが速く、
音の余韻がスッキリとしています。
またハードにドライブさせた際、
芯のある重低音を鳴らすため、
麒麟ではコイルに限界まで線材を巻いています。
巻き数を上げることで出力が大きく、
パワフルになり、深く歪ませた際にも
音がぼやけにくくなります。
ギタリスト:真鍋香我さんに試奏・解説頂いております↓
スタッフが同じフレーズでピックアップを切り替えて
試奏しております。
このPUをネック側、ブリッジ側に
2機搭載しています。
4.コントロール
コントロールは以下の通り。
・ボリューム(音量調整)
・トーン(高音域の音質調整)
・ピックアップセレクター(2機あるPUの切替)
・コイルタップスイッチ(ピックアップ内で鳴らすコイルの切替)
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コイルタップとは、ハムバッカーPUに
搭載されているオプション機能の一つ。
ハムバッカーPUには1機あたり、
2つのコイルで構成されていて、
通常は2つ使って鳴らすところ、
コイルをタップすることによって、
そのうちの1つを鳴らすことができます。
擬似的なシングルコイルPUとして
シャープで歯切れよいサウンドで
演奏することができます。
結果としてサウンドのバリエーションが合計6種類あります。
ハムバッカーの状態で
①ネックPU単独
②ブリッジPU単独
③ネック・ブリッジPUのミックス
擬似シングルコイル(コイルタップをオン)の状態で
④ ネックPU単独
⑤ブリッジPU単独
⑥ネック・ブリッジPUのミックス
ギターを初めて演奏する方にも分かりやすく、
様々なサウンドキャラクターをお楽しみ頂ける
コントロールにしています。
※Sago ver.の麒麟で搭載している、
ピエゾPUは搭載していません。
5.ロック式ブリッジ
Seed Kirinには通称フロイドローズと
呼ばれるロック式のブリッジを
採用しています。
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アームを使って演奏することにより、
音を揺らすことができ、
ギターのコードワークで音を色気付けたり、
ハードなギターソロを演奏する際、
音程を大胆に変化させることができるため、
リードギターを弾くギタリストにとって、
必須と言えます。
ギター弦をボディ裏に仕込んである
バネの張力を使って音程変化させるため、
弦の伸縮により、通常のトレモロユニットでは
アーミングの後、チューニングが狂ってしまう
ことがあります。
このロック式ブリッジにすることで、
ナット側で弦を固定することから、
激しくアーミングしたとしても、
チューニングが狂いづらくなります。
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なお弦交換が通常のブリッジより難しくなるため、
こちらの動画で交換方法を解説しています。
6.Seed Kotetsuのネックに差し替え可能
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前回モデルSeed Kotetsuをお使いの方に朗報です。
ネックのジョイントをSeed Kotetsuと
Seed Kirinで同じ設計にしています。
これにより、この2つのモデルで
ネックの差し替えが可能です。
Seed Kotetsu: 低音側へ5フレットプラスした29フレットネック
(チューニング:B/E/A/D/F#/B)
Seed Kirin : 低音側へ2フレットプラスした26フレットネック
(チューニング: D/G/C/F/A/D)
Seed Kotetsuでは7弦ギターと同じ音域、
ローエンドはLow-Bが出せるのですが、
長いネックであるがゆえに、
演奏が難しいと桜村さんご本人も
申しておりましたw
Sagoのカスタムオーダーでは
Seed Kirinと同じ2フレット伸ばしの
ネックでオーダー頂くことがよくあります。
このネックの差し替えにより、
「Low-Bまではあまり必要ではないけど、
2フレット伸ばしのネックを装着し、
Seed Kotetsuのピックアップレイアウトで
カジュアルに演奏したい。」
とか、それとは逆に
「5フレット伸ばしのネックを
Seed Kirinに装着して、
Low-Bのサウンドをタイトに
パワフルに演奏したい。」
という感じにカスタムできます。
実際にネックを差し替える際は
Sago工房にてメンテナンスを行いますので、
両方のモデルをお待ちで、
ネックを差し替えたい場合には
一度Sagoまでお問合せください。
※弊社以外の販売店様から
お買い求めいただいた場合、
ネック交換やメンテナンスについては、
購入店様へお問い合わせください。
7.まとめ
たくさんのこだわりが詰まったSeed Kirin。
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リリースするまでの経緯を思い返しますと、
世にも珍しい5フレット伸ばしの
Seed Kotetsuをご好評頂いたことが大きいです。
Low-Bのサウンドを得るためには7弦ギターを使う、
もしくはダウンチューニングする他なかったところ、
Seed Kotetsuの登場により、ギターで重低音を
鳴らすことがポピュラーになりました。
Seed Kirinの2フレット伸ばしは
Low-Bまでの重低音は出ないものの、
ギタープレーの幅が広くなるに違いありません。
和楽器バンドのファンの方はもちろん、
これからギターを始めたい方、
普段はベースを弾いていて
ギターにもチャレンジしたい方、
音源制作で便利なギターをお探しの方に
ぜひ手にとって頂きたいです。
なお初心者の方向けにギターについて
Blogで解説していたりしますので、
ぜひ今後ともご注目くださいませ。