NAMM SHOW 2024 ギターモデル解説
最終更新日: 公開日: ギターモデル
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NAMM SHOW2024にSagoのモデルを出店してきました!
カリフォルニア州アナハイムにて、2024年1月25日~28日の4日間にわたり開催されたNAMM SHOW。
2023年の初出店に比べて、SagoのYoutubeや楽器を知ってくれている人が増え、たくさんの方と交流することが出来ました!
NAMMの様子をYoutubeで公開しています↓
そして今回のブログでは、NAMMに向けて製作したショーモデル「Sago Concept Model Ymir」について解説していきたいと思います。
Sago Concept Model Ymir6
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SagoのConcept ModelシリーズのYmir。
Fender社のSuper Stratcasterのように24フレット仕様で、テクニカルなギタリスト向けに開発しました。
少し前にリニューアルし、その後もカスタムオーダーを頂くことの多いYmirは Sagoの人気モデルの一つです。
7弦24フレットのカーボンネック
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カーボンネックは炭丸ギターさんに
製作を協力頂いており、グリップシェイプなどの
仕様を限定して量産しているのですが、
この度ご要望の多かった7弦24フレットの
ギターのカーボンネックが新たに
ラインナップに加わりました。
カーボンネック最大の特徴は
気候変化に全く左右されず、
ベストのネックコンディションを
常に保ったまま演奏ができること。
木材の場合は、楽器として完成後も
木材が水分を吸ったり吐いたりすることで、
ネックが動いて(曲がって)しまいます。
人工的に強制乾燥させたサーモウッドは
環境変化に強いとはいえ、ネックが
絶対に動かないということはありません。
カーボンはそうした心配はなく、
一度セッティングしたネックコンディションを
維持し続けることが最大の特徴です。
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また木材のネックと同様にトラスロッドを
仕込んでいます。
弦高調整やネックの状態(ストレート、
ほんの少し順反り気味など)を微調整できます。
なおフレットは剛性の高いステンレス、
サイドポジションマークには暗いところで
光るルインレイを標準搭載しています。
従来の樹脂製のネックのように冷たく、
無骨なイメージとならないよう、
木材と同じ重量に合わせています。
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またネックを中空構造にすることで、
木材のような鳴りを実現しています。
7弦24フレットのギターを使う方は
速弾きやタッピングなどテクニカルな
演奏スタイルであることが多いです。
そのためネック周りのセッティングが
シビアであり、そのコンディションの
キープがカギとなります。
カーボンネックを導入すれば、
安定して弾きやすい状態を
手に入れることができます。
ポーリングアート
塗装はSagoが新たに挑戦している
ポーリングアート。
色同士が混ざり合うことなく、
液体の流動性を活かしたデザインです。
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ブルー中心に、まるで海の中に
いるのようなイメージに。
昨年のK’z Guitar WorksとのコラボSoniaに続き、
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ショーモデルとしてインパクト抜群に
仕上がったのではないでしょうか?
新しい素材・アイデアに柔軟に
取り入れていくSagoらしい塗装となっています。
ピックガード
ピックガードにも新たな挑戦として
エングレービングによるデザインを
取り入れました!
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ポーリングアートにより、
海の中を表現したので、その中を優雅に泳ぐ
クジラを描いてもらいました。
ピックアップやコントール類を装着する
ピックガードですが、ドレスアップできる
ギターパーツとして
SagoのNew Ideaは尽きません。
ピックアップ・コントロール
ギターのPUについて試行錯誤を続けるSago。
ピックアップのレシピ、
コイルタップの配置を見直しました。
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まずフロント側・リア側のハムバッカーPUですが、
コイルタップした際に音量差が出ないよう、
コイルタップ時に音が鳴るコイルの
マグネットにはアルニコ5、音が鳴らないコイルの
マグネットにはアルニコ2を選びました。
数字が大きくなるほど、磁力が強くなり、
出力も大きくなります。
またコイルタップ時に音が
硬くなりすぎないようフロントPU、
リアPU共にネック側のコイルが鳴ります。
コントロールは Master Volume, Tone, 5 Way Switch,
ミドルポジションのシングルコイルPUの
On/Off Switchという構成です。
5 way switchは
①フロント側に振り切る:フロントPU (HB)
②フロントとセンターの間:フロントPU (Coil Tap)
③センター:フロントPU (HB) & リアPU (HB)
④リアとセンターの間: リアPU (Coil Tap)
⑤リア側に振り切る:リアPU (HB)
という感じで5種類あり、
ここにミドルポジションのシングルコイルPUが
加わることで合計10種類の音色で演奏ができます。
ハードなリフ、アグレッシブなリードギターに必要な
ハムバッカーPUと、煌びやかなアルペジオ、
スッキリとしたクリーントーンに対応できる
シングルコイルPUとコイルタップ。
様々なシーンに対応できるよう
バリエーション豊かなサウンドと、
分かりやすいコントロールで
ギタリストをアシストします。
PUの切り替えによる音の違いは
以下で聴き比べできますよ!
木材、木工加工
ボディバックにはバスウッド。
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バスウッドは癖のない素直なサウンドが特徴です。
木材自体に音的な特徴があまりなく、
ピックアップなど他のパーツ類の特性を
ストレートに出すのに向いています。
柔らかいので、オイルフィニッシュなどの
極薄塗装は強度的に向いていません。
楽器用材の中では比較的軽いため、
ボディトップに硬く、重量感のある
メイプルを貼って音の芯が
ボヤけないようにしています。
そしてジョイント部はプレートなしの
4点ボルトオンでジョイントしています。
ハイポジションでもスムーズに弾けるようにヒール加工。
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丸みを帯びたジョイント部は
見た目も美しく、心地よさを感じます。
レギュラースペックのYmir7と聴き比べ。
同じPUポジション、奏法でレギュラースペックのYmir7と
NAMM SHOWモデルのYmir7を弾き比べました。
ネックの比較として
レギュラースペックは
ネック材:ライトサーモメイプル
指板材:リッチライト
※カーボンのサポートロッドあり
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NAMM SHOWモデルはネック材、
指板材共にカーボンです。
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ネック材がカーボンになることで、
低音から高音まで均一な鳴りとなり、
木材のネックに比べて低音がスッキリした印象です。
歪みの深い音作りの際、
低音が膨らんでくることがありますが、
カーボンネックでは適度な低音感で、
タイトに音作りすることができます。
7弦ギターであるため、
ネックの質量が6弦ギターに比べて高く、
ネックのマテリアルが違うことで
キャラクター変わることがよく分かります。
またカーボンネックでは剛性を高めるため、
フレットにステンレスを採用しています。
そうしたこともあり、
アタックがガチっとしていて、
フレーズがハッキリと見えやすいです。
7弦ギターを使うギタリストの方は、
テクニカルなプレースタイルでギターアンプ、
エフェクターや周辺機材トータルで緻密に音作りされます。
カーボンネックのYmir7はギターとしては
素直なサウンドにまとまっています。
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またピックアップ自体の出力は以前の
リニューアル時は高出力で深く歪ませても
しっかり芯のあるサウンドとなるようにしていましたが、
Soniaのように適度な出力で
クリーン〜クランチ〜ハードなドライブサウンドまで、
万能に音作りできるように調整しました。
そしてショーモデルとして挑戦した
ポーリングアートの塗装とピックガードも、
ぜひ近くで見て頂き、ギターショーの本場で
注目してもらえることを楽しみにしています。
まとめ
2回目の出店となったNAMM SHOW2024。
冒頭にも書きましたが、昨年に比べSagoを知ってくれている方が増えたように感じます。Youtubeも見てくださっているようでブースで「Hey くぼっち!」と呼んでくれる方もいたり笑
Sagoブースや会場の様子も紹介しているのでぜひ見てみてください。