和材4種弾き比べました!サウンド徹底解説

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こんにちは、Sago NMG工房です。

Sagoで和材を取り扱いはじめてから数年。
ショーモデルやお客様からのオーダーで和材をお選び頂き、これまでにたくさんの和材ギター・ベースが誕生しました。

そこで改めて和材の特徴、魅力を知ってほしいということで、今回のBlogではネック材にフォーカスして和材を紹介します。

ネック材で定番のハードメイプルと比べてそれぞれの和材にどのような特徴があるのか、製作した時の感触も踏まえて書いていいていきます。

なお比較動画は5弦ベースを題材にしています。

①ライトサーモメイプル
②樫(かし)
③楢(なら)
④欅(けやき)

の順で聴き比べができます。

ネック材として5弦ベースの弦の張力に耐えれるか、また4弦ベースやギターよりもネックの質量が大きくなることから、マテリアルによる音の違いが分かりやすいことが理由です。

音の傾向としては4弦ベースでもギターでも同様の傾向になると考えてます。

樫 (かし)

樫は昔から工具の柄の部分など強度がいる部分に使われてきた材。
和材の中でも硬さと粘りがあり、今回比較した中では樫が一番硬かったです。

サウンドキャラクターとして、独特のクリスピーさがあり、カッティングギターやスラップベースなど、パーカッシブなプレーにマッチしそうな印象です。

こちらのALL和材のStyle Tはまさにカッティングやクリーントーンを活かしたギター演奏にピッタリで、樫指板、栗ボディによる上品かつ切れ味抜群のサウンドでした。

またALL和材でベースのKanderbirdを製作させて頂いた際に、和材による品のある質感ながら、Kanderbird特有のパンチの効いたサウンドが健在でした!
樫ネックにより、アタックをしっかりと形成していましたね。

また手触りとしては洋材のホワイトオークに近く、高級家具のような質感です。

ネックはギター・ベースを演奏する上で一番手に触れるパーツなので、樫の心地よい肌触りをオイルフィニッシュやシンフィルムでダイレクトに仕上げるのもオススメです。

ちなみに赤みがかった赤樫もネックや指板に最適のマテリアルで、樫よりもよりガッチリ詰まった感じ、硬質な印象です。

楢 (なら)

楢は強度の面から和材のネック材としてお選び頂くことの多い和材です。

キャラクター的にはハードメイプルとマホガニーの中間ぐらいのイメージです。
ネック自体の生鳴りが大きく、ハードメイプルの明るさがあり、マホガニーのような甘い鳴りも感じます。

樫に比べると音の伸びが良く、出音のバランスも良好です。
一方、音の立ち上がりでは樫や欅に比べるとなだらかで、和材特有の柔らかい印象です。

ギターではメロウなクリーントーンやハムバッカーPUや P-90など滑らかなサウンドに合いそうです。

ベースならバッキングでロングトーンを鳴らすことの多い5弦ベースや滑らかなサウンドのフレットレスベースに合いそうです。

ギター、ベースの両方で製作実績が多く、他のマテリアルやSagoのオリジナルピックアップとの相性が良く、楢は万能な和材と言えます。

また和材に柔らかい印象があるというのは、単に音の傾向だけでなく、加工性も良く素直で、手触りも心地よいことも挙げられます。

ネック材を和材で考えた際、基準として選択肢に入れたい和材です。

欅(けやき)

和材の中でもボディ材でお選び頂くことの多い欅。
和太鼓や仏像彫刻など、日本では古来から様々な用途で使われています。

欅はなんと言っても明るく、パンチのあるミドルが特徴です。

Sagoではボディ材でお選び頂くことが多いのですが、ネック材として採用した際にも同様のサウンドキャラクターが感じられました!

ベースラインがよりくっきりと見えるイメージで、ピック弾きを多用するベーシストに似合いそうです。

楢と同じく、出力のバランスがよく、その上で音が前に出るため、ギターはオールマイティにバッキングができそうですし、リードギターではしっかりと目立ってくれそうです。

ちなみに欅ネックとしてはTD-035のALL和材 Customを製作して以来 、実は製作できていませんでした。

本モデルはボディバックにも欅を採用していて、どちらかというとボディのイメージで欅のサウンドを捉えていましたが、今回ネック材に焦点を当てて比較したことで、改めて欅のサウンドキャラクターの強さを感じました。

欅は重力のある木材のため、ボディ材の場合だと重量感のあるモデルに仕上がります。

ネックの重量で比較すると、他の材と大きく差がある訳ではないので、ネックに採用することで、重量を気にせず欅ならではのサウンドキャラクターを得ることができます。

マテリアルによる音作りを考えている方にぜひ試して頂きたいです。

板谷楓 (いたやかえで)

別名:ジャパニーズメイプル。
日本で採れるメイプルで、特徴は洋材のハードメイプルと同じく硬めでトップ材やネック材に適しています。
板谷楓の方が僅かにマイルドな印象です。

こちらのOve5は「アッシュ・メイプル」ならぬ「栗・板谷楓」という組み合わせで、栗ボディーのスッキリした印象を忠実に感じることができます。演奏性はメイプルとほぼ同じですね。

素直な木材であるため、他のマテリアルや電気系パーツの特性に重点を置きたい場合にオススメです。

※比較動画では登場しませんが、ネック向けの基本的な和材として紹介します。

比較動画

【使用機材】
ベース:Sago Classic Style J5
ライン収録:Golden Age Project PREQ-73 PREMIER
アンプ収録:AMPEG RB-110 へSHURE 57 をオンマイク
ケーブル: Vovox Sonorus protect A

ライトサーモメイプル 855g

樫 (かし) 958g

楢(なら) 952g

欅 (けやき) 904g

アナライザーで比較すると特徴のある周波数帯域(山の箇所)が違い、サウンドキャラクターとして現れていることが分かります!

まとめ

こうして比較するとネック材を変えるだけでも音の印象は結構違います。

Sagoでは積極的に新しいマテリアルを取り入れていますが、和材の中でも定番となっている材を比較できたことにより、音の研究が出来ました。
特にネックはプリアンプ、ボディーはパワーアンプというイメージがあり、ギター・ベースの根本的なサウンドキャラクターや演奏性がダイレクトに決まるため、ネック材は慎重に選びたいですね。

なお各材の紹介でこんなプレースタイルの方に合うのではないかと書きましたが、どれも特徴的なサウンドキャラクターだったので、傾向が分かるようにイメージとして書いています。
マテリアルによってイメージを限定するつもりはなく実際の感触はぜひ弾いて体感して頂ければ幸いです。

これからも比較動画やブログで解説していきますので、音の違いなどについて、ぜひコメント下さいね。

「Sago」は2004年に創立した、ギターメーカーです。
エレキギター・ベースを基本に、スタンダードなモデルや弊社プロデュースのモデル、フルオーダーまで幅広く製作をしています。
豊富なアイデアと技術で、お客様の理想の一本を製作させていただきます。

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