Sagoの和材ギター 樫・栗編

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こんにちは。

ウッドショックやコロナの影響により、
減少が続く従来の楽器用木材。

Sagoではサーモウッドカーボンネックなど、
New Materialを取り入れて、
枯渇する木材と向き合いながら、
新たな楽器作りを日々行なっています。

そこで最近注目しているのが
和材、Japanese Wood!

今回は樫・栗編ということで、
こちらのオール和材で製作した
Classic Style T Customについて解説します。

1.ボディ材:栗

の木はSago創設当初から
取り扱いしている和材の一つ。

重硬で、水潤にも強く、
耐朽性があります。

また褐色を帯びた灰白色で、
環状に道管が大きく現れ、
特徴的な渋いルックスであることから、
ボディ材に採用しました。

栗の木の質感をダイレクトに
感じてもらうため、シンラッカー
仕上げています。

音の傾向としてはライトアッシュに近く、
明るくクリアな印象です。

しかしライトアッシュほどは
ハイのギラギラとはしておらず、
和材特有の柔らかさを感じます。

ちなみに演奏性を考慮し、
ボディにエルボーコンターを施しています。

※通常のClassic Style Tには
エルボーコンターがなく、ボディ表面はフラットです。

2.ネック材・指板材:樫

の木は国産材の中でも
極めて重硬で強靭です。

ハードメイプルと同じくらいの硬さがあり、
強度や音の立ち上がりの点から
ネックに適していると考え、
ネック材・指板材に採用しました。

音の傾向はハードメイプルに比べて
粘りがあり、ミドルがガツンと
しているように感じます。

また道管が特徴的で、
こちらのOve4のホワイトオーク
のように手触りが非常にいいです。

Style T Custom(樫)

この手触りのよさを生かすため、
薄めのウレタン艶消しで仕上げております。

このランダムに現れる杢も
かっこいいですよね。
インレイやポジションマークとは異なるアプローチで
指板にインパクトを出したいという方にもオススメです。

3.ピックガード材:黒柿

和材はルックスが個性的なものが多いです。
装飾材としてもオススメで、
ピックガードには黒柿を採用しました。

黒柿は黒檀(エボニー)程ではありませんが、
硬さのある木材です。
指板にもお使い頂きます。

場所によってはスポルテッドメイプルのように
脆かったり、節が目立つところがあります。

ボディの2TSのカラーとも相まり、
いいアクセントになっています。

4.コントロール部

木材以外の仕様、ピックアップやハードウェア、
電装系のパーツ類は基本的に
通常のClassic Style Tと同様としています。

和材を用いた今回のClassic Style Tで、
ピックアップのパターンを変えることで
相性の良さを探る目的で、
5 way Switchを採用しました。

①Neck PU
②Neck PU & Bridge PU(Parallel)
③Bridge PU

ここまでは通常のClassic Style Tの
3 way Switchと同じ。

ここに

④Neck PU & Bridge PU(Series)
⑤Phase Switch

④はNeck PUとBridge PUを直列状態に接続し、
疑似的なハムサウンドが得られます。

⑤はPhase Switchと言って、
二つのうち片側のPUの位相を反転させ、
あえて音を打ち消し合うようにしています。

通常はノイズを軽減させる目的で
位相反転を利用することがギターでは一般的ですが、
このPhase Switch (out of phase)
あえて音が打ち消しあった状態、低音感が
ごっそりなくなった音色になります。

出力も落ちますが、このペラッとした音色が、
特にカッティングで生きてくるのです。

5.サウンド

気になるサウンドはYouTubeで
ぜひ聴いてください。
Sagoスタッフがデモ演奏しています。

カッティング、アルペジオ&コードストローク、
リードの3種類を5つのPUパターンで聴き比べできます。

の木特有の明るいサウンドかつ、
テレキャスタイプらしい高音のキレを感じます。

またソリッドボディですが、
セミホロウ構造のギター、
例えばSagoのBuntlineのような
エアー感を感じます。

一方で音が広がりすぎず、
タイトすぎない、音のまとまりが
絶妙なのはネックに採用した
の木おかげでしょうか?

栗・樫といったマテリアルによって、
新しいテレキャスタイプのサウンドが
生まれたのではないでしょうか。

なおSagoのYouTubeチャンネルで、
皆さんの試奏動画を随時募集しています。

オーダー頂いた皆さまの演奏により、
これからオーダーをお考えの方々の
参考になればと考えてますので、
ぜひともよろしくお願いします。

6.まとめ

オール和材のギターはこのほかにも、
将棋の木材で構成されたClassic Style Tや、

欅、椅子の木を用いたTD-035 Customなどを
製作してきました。

和材にはたくさんの種類があります。
柔らかい材や硬い材、色味なども様々です。

他にどんな和材があるのか?どの部位に向いているのか?
などなど気になる方は、弊社で製作してきて感じた特徴やサウンドについて記事にまとめているのでぜひご覧ください。

どのモデルにも共通して、和材は手触り、
サウンド共に柔らかさを感じます。

そして和材ならではの渋いルックスも魅力的ですね。

SagoならではのNew Materialとして、
Made in Japanのギターとして、
和材のギター・ベースをこれから
どんどん紹介していきます。

最後までご覧頂き、ありがとうございました!