【トップ材・3プライ】ギターベースの貼り合わせについて

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ギターやベースではよく木材の張り合わせが行われています。

ボディが2ピースだったり、豪華なトップ材を貼り合わせたり、ネックを3ピースにしたり、、
趣旨や方法は様々ですが、木材を貼り合わせることで楽器として一体どんな影響が出ているのでしょうか。

今回は材の張り合わせの種類やメリットやデメリットについて紹介していきたいと思います。

ピースとプライ

よくスペック表を見ていると、ボディ:アルダー2Pのような表記を見かけることがあると思いますが、
この2Pは木材の枚数のことで、ピースやプライという単位が使われています。

表面から見て横方向に貼られている場合 ピース

表面から見て縦方向に貼られている場合 プライ

なのでボディのアルダー2Pやネックのメイプル3Pはピースで、トップ材や積層のように重なっている材だとプライと呼ぶ感じですね。
ただ楽器業界では割とあいまいに呼んでいることも多いので、どちらで呼んでも基本的に通じると思います。

まずはボディ周り

ボディで一番スタンダードな張り合わせは2ピースです。

2枚を貼り合わせることで1ピースに比べ、小さい木材でも使用することができ、フシや割れのある部分を避けることができます。
さらに一枚のブロックの面積が小さくなるので反り方も軽減され、全体的な反りが少なくなります。

貼り合わせていくごとにこの傾向は増していくので、木材は個体差が少なくなり均一化されていきます。そのようなメリットや木材不足の影響もあり、最近では3ピースや4ピースを使用しているメーカーも結構増えているようです。

もちろん美しい見た目の1ピースも人気が高いんですが、そういった点では反りが出やすく個体差やあばれ感が出やすくなります。

あとボディ材の張り合わせといえばトップ材ですよね。

こちらはピースに比べ、サウンドの特性や装飾の目的で貼られることが多い材です。

柔らかい材と硬い材などを貼り合わせることで、その木材の特性をブレンドすることができます。
代表的なのはレスポールのマホガニーボディ+メイプルトップですが、中音域が強いマホガニーにメイプルを貼り合わせることでパンチのある高音と低音が足され、補い合うことであの素晴らしいサウンドが生み出されています。

とくにメイプルは、音響特性に加えてキルトやフレイム、バール、スポルテッドなど様々な美しい杢があるためオーダーでも人気が高いです。

その他にもさまざまな杢や木目の特徴的な材があり、トップに貼ることで美しい見た目にひきたててくれます。
弊社では木材のギャラリーもありますので、ぜひ木材の種類が気になった方は覗いてみてくださいね。→木材ギャラリー

ネック周り

ネックはまだまだ1ピースが一般的ではありますが、ヘッド角の付いたネックには3ピースも比較的使われています。

木材不足により厚くて大きい材が減ってきていることもありますが、木材を貼り合わせることで強度を高めたり、反りも軽減することができます。

横方向のプライだけではなく、ネック途中で木材を接ぐ接着方法もあります。
スカーフジョイントという技法は木材の節約というイメージが強いですが、ヘッドの角度に対し木目を平行にして接ぐという接着方法になるので、ネック折れに対する強度を上げるという意味合いもあります。

ネックとヘッドが接着されているネックは逆に強度が弱いんじゃない?と思う方もいると思うんですが、適切に接着された接着面は実は木材単体よりも強いです。例えばヘッド折れの修理で適切に接着されたネックがもう一度折れてしまった時には接着面とは違うところから折れるくらいに強度があるんですよ。

ヘッドの突板も基本は装飾ですが、硬い木材の場合ヘッドの強度も上がります。

ただ3ピースの方がいいのかというとそうではなく、ヘッドに角度が無いフラットヘッドの場合は強度的に問題ないですし、1ピースの自然でオープンな鳴りかたが好みだというプレイヤーも多いと思います。

まとめ

今回は意外と注目することのない”貼り合わせ”についての解説でしたがいかがでしたでしょうか?

単板やピース数の少ない楽器が好まれる傾向があると思いますが、貼り合わせることで生まれるメリットも多くあります。
それぞれの良さを上手く活かして楽器を製作していきたいですね。

弊社でも木材不足や資源の減少によって木材に限りがある中で、無駄なく使用したいと思い、製作中に発生する細かい木材達を貼り合わせてギターを作ったこともありました。
いろいろな木材の色や木目、張り合わせ方を工夫することで、単なる寄せ集めでは無く、他に無いような個性を出すこともできるのでは?