ファンドフレットモデル特集

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フレットが扇状に広がっていくルックスが特徴的なファンドフレット。
オーダー工房の弊社でも今までファンドフレットのモデルを製作してきました。
今回はこのファンドフレットの特徴やメリット、Sagoのオーダーの際の仕様について解説していきます。

ファンドフレットとは?

ファンドフレットとは「扇状に広がる」という意味の「Fan」が由来です。
その名の通り、扇状に広がるようにフレットが打たれており、ナットやピックアップ、ブリッジもそれに合わせ斜めに配置されています。

低音弦側と高音弦側でスケールが違うので、別名マルチスケールとも呼ばれています。

ちなみにこのようなマルチスケールの元祖はグランドピアノです。
確かにピアノや他の楽器では弦ごとにスケールの長さが違いますよね。弦の長さが異なることで、低音側から高音側まで理想的なバランスで鳴らすためにあの形で楽器として完成しています。

ファンドフレットのメリットとは?

もともと一般的なギターやベースは、太さやチューニングの違う弦が同じスケールに当てはめられています。

そのため各弦にとって最適なバランスではなく、低音弦側に向かってテンションが緩くなっていきます。特に多弦ベースの5弦や6弦ではサウンドの輪郭がぼやけがちです。

ファンドフレットは低音弦側のスケールを伸ばすことで、各弦に合わせた適切なスケールに調整しています。
それぞれの弦ごとに適切なテンションをかせぎ、クリアで均一なサウンドを鳴らすことができます。

Sagoのファンドフレットのベースでは

1弦:32inch(ショートスケール)
2弦:32.75inch
3弦:33.5inch
4弦:34.25inch
5弦:35inch(スーパーロングスケール)

と各弦ごとに0.75inchずつプラスされており、
7弦を中心に扇状に広がっています。

ファンドフレットの構造

このようなマルチスケールでは楽器の構造も一般的なものとは違ってきます。

ブリッジ部分は、扇状に広がるスケールによって各弦ごとに斜めに配置されます。
そのため通常のブリッジではなく1つ1つのサドルが独立したセパレートブリッジを使用します。

弊社のファンドフレットモデルではHip Shot製のセパレートブリッジを採用しています。

ナット幅と弦間ピッチは、弊社の通常のベースモデルと同じく

ナット幅
4弦モデルの場合:38mm(ジャズベースタイプ)
5弦モデルの場合:45mm(5弦ベース共通)

ブリッジの弦間ピッチ
4弦モデル:19mm~
5弦モデル:18mm~

が基本仕様になっています。

ファンドフレットのようにスケールポイントが斜めになっている場合、
通常のブリッジのように真横に18mmピッチで配置すると低音弦側に向かって間隔が狭くなってしまうため、その分ピッチを広げて調節し、ピッキングの際の違和感を無くすように工夫しています。

なおナット幅や弦間ピッチはファンドフレットにおいて設計の重要ポイントなので、慎重にオーダーを進めていく必要があります。

もうひとつ大きな部分でいうとピックアップです。

ファンドフレットの仕様や弦間ピッチに合わせてポールピースの位置を調整したり、ピックアップを斜めに配置することにより部材やレシピを変える必要があります。

斜めに配置することにより、同じターン数でも通常のマグネットに比べて長くワイヤーを巻くことになり、出力も大きくなります。そのため出力が過度に大きくならないよう巻き数を調整しています。

Sagoではファンドフレットモデルでもこれまでに様々なピックアップを製作してきました。

SS (Single Soap Bar)

EP (Equalized Pole Piece)

Sagoではピックアップをオリジナルで巻いているので、すでにあるラインナップもファンドフレット用にアレンジして製作することができます。

そのため、ファンドフレットモデルのPUはほぼワンオフの状態で製作を続けています。

オーダーするなら?金額の上がるポイント

・基本設計(ヘッド・ボディシェイプ、ピックガード)
・ピックアップの配置、コントロール
・フレット打ち(Rが1フレットずつ異なるため)

上記で紹介したSagoの、”スケール・ナット幅・ブリッジの弦間ピッチ” から変更が必要な場合は、ファンドフレットの形状そのものを見直す必要があり、オリジナルファンドフレットとして設計する必要があります。

既存モデルの設計でいいのか、カスタムが必要なのかによっても金額は変わってきます。

ファンドフレットの形状やスケールを変えたい場合にも、それに付随して色々と変更点が出てくる可能性がありますので、詳しくはSagoのLINEでご相談ください。

オーダー例

製作したモデルをいくつか紹介していきます。

Sago Derashi Custom

Sago Concept Model Ove5

Defi Ikebe Original Fand Fret

サウンドはこちら↓

各弦バランス良く鳴りつつ、パワフルさも兼ね備えたサウンドです。

7.まとめ

ファンドフレットというと、ヘビーなジャンルや特殊なイメージがあるかと思いますが、製作例で紹介したハンブレッダーズ でらしさんのモデル – Derashi Custom – のようにギターロックやポップスにもバッチリ合います。

またSago Concept Model – Prime Edge – を
ファンドフレットモデルとして新たに設計し直しています。

完成したら、またBlogで紹介しますのでお楽しみに!

最後までご覧頂き、ありがとうございました。

「Sago」は2004年に創立した、ギターメーカーです。
エレキギター・ベースを基本に、スタンダードなモデルや弊社プロデュースのモデル、フルオーダーまで幅広く製作をしています。
豊富なアイデアと技術で、お客様の理想の一本を製作させていただきます。

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