サーモウッドのあれこれ

こんにちは。

本日6月6日は楽器の日。そしてSagoの楽器作りには欠かせないサーモウッドを今回は取り上げようと思います。

 

「サーモウッドと言えばSago」、そう呼ばれる程すっかりお馴染みとなりました。
Sagoアーティストを始め、オーダーを頂く方々からサーモウッドを使いたいという声を多数頂いております。
しかし一口にサーモウッドと言っても、ネックやボディに使うとどんな特徴があるのか、またサーモ処理した木材はどんなものがあるのか、気になりませんか?
これまで紹介しきれなかったサーモウッドのあれこれを今回は深掘りしてみたいと思います。

 

1.サーモウッドとは?

北欧フィンランドで生まれた加工技術です。
木材を無酸素の状態にて200度の高熱処理で乾燥させることにより、人工的に経年変化を与えることができます。

元々サーモウッドは家具や建築の分野で用いられている技術で、木材をサーモ処理すると平衡含水率が減少し、断熱性も高くなります。
大気中の水分や気温の影響を受けにくいことから、寸法の安定性が向上し、木材が芯まで均一な品質となります。

またサーモ処理に使うのは熱と水のみで、人へも環境へも無害であるし、加工時に特殊な器具を必要としません。
楽器製作にもメリットがあり、この技術をエレキギター・ベースに応用すれば面白いのでは?ということで、世界に先駆けて2009年よりSagoは楽器にサーモウッドを導入しました。
楽器を作るための木が年々減ってきていますが、Sagoではサーモウッドを積極的に採用し、よりクオリティの高い楽器製作に活用しています。

 

 

 

2.サーモウッドをネックに使用した場合の特徴

サーモ処理がされた木材は余計な水分やセルロースがなくなり、超乾燥状態となります。
それにより木材の寸法が安定し、ネック材に活用することで、ネックの反りやねじれが少なくなります。

 

 

 

日本のような四季の寒暖差、湿度変化の激しい中でもネックのコンデション維持に適しています。
全国ツアーや海外公演など、環境の違う土地へ移動が続く過酷な状況でも、安定したコンデションで演奏に集中出来ることはミュージシャンにとって頼もしいのではないでしょうか?

またサーモ処理した木材は細かく均一に鳴るため、ネックに使えばピッチが安定しやすく、デットポイントが少なくなります。
SagoではジャズベースやストラトタイプなどのClassic-Style Seriesでサーモ処理を施したメイプルをネック材に標準採用しています。
ネック以外の仕様は標準的なモデルと同じで、慣れ親しんだグリップシェイプでサーモウッドによる違いをぜひ体感してみてください。

 

classic-style

 

なおthe pillowsのギタリスト、真鍋吉明氏のモデルであるSeed Rutileにもこのサーモメイプルを採用しております。
これからギターを始める方にもこのサーモウッドのネックをぜひ手に取って頂きたいです。

 

 

Seed Rutile / the pillows 真鍋 吉明スチューデントモデル

 

 

3.サーモウッドをボディに使用した場合の特徴

サーモ処理が施されたボディは人工的に経年変化が与えられているので、弾き込んだ楽器、ヴィンテージギターのような極上トーンが得られます。

 

 

 

またボディの均等性が取れ、バランスが良くなります。

振動がボディ全体に響きやすくなり、ギターで1-6弦を使ってコードを弾くと、低音から高音まで均等にしっかり鳴っているのがお分かり頂けると思います。

なおビンテージトーンを狙わなくてもサーモウッドしか持ち得ない独特のアコースティックなトーンはあなたの個性となってくれるでしょう。
Sagoではボディ材によく使われるアルダーをサーモ処理しています。このサーモアルダーSagoのConcept modelやXimeraのArxi・Moxinoに採用されています。

またSeedから登場した初のアコースティックギター、S1000-TSではアコギのトップ材の定番、スプルース材にサーモ処理を施しています。

 

 

小ぶりなボディながらサーモウッド特有のアコースティックな鳴りを最大限に生かし、全く非力さを感じさせない力強いボリューム感を実現しています。
特に高音に伸びのあるサウンドと評価頂いているのはこのサーモウッドによる恩恵と言えるでしょう。

 

 

4.懸念点

ネック、ボディ共に言えることですが、アタック成分が少なくなり、全体的に音が丸くなります。
広がりすぎず締まった音にしたいという場合には、あえてサーモウッドを使わない提案をすることもあります。

また塗装についても下記の通り、シースルー系の場合はサーモウッドによる色味も考慮する必要があります。

 

 

なお上記の懸念点を考慮し、数々の実験を重ねて、2017年からはネック材として浅めにサーモ処理したメイプル:ハーフサーモメイプルもラインナップに加わりました。

 

 

 

ノンサーモの質感を残しつつ、サーモウッドの特性を生かすことができます。

またサーモウッドを有効的に活用するためには、木材の組み合わせやパーツ類の選定が重要になってきます。詳しくはSagoのスタッフまでお問い合わせください。

 

 

5.重量比較

ネックを製作する際の端材を使って、重量比較をしてみました。
用意したのは上から①サーモメイプル、中央は②ハーフサーモメイプル、下は③ノンサーモのメイプルです。

 

寸法:173(L) × 35(W) × 20(H)
①サーモメイプル: 77.0g
②ハーフサーモメイプル: 79.1g
③ノンサーモのメイプル: 87.5g

③ノンサーモのメイプルに対して、①サーモメイプルは約12.0%、②ハーフサーモメイプルは約9.6%軽量化していることが分かります。
実際にサーモウッドを採用したエレキギター・ベースを構えて頂くと、同じ形状、サイズなのに「想像以上に軽い!」と実感頂けるはずです。
ステージアクションの激しいライブ、あるいはレコーディング・リハーサルで長時間演奏する場合に、軽量なサーモウッドはあなたの強い味方となってくれるでしょう。

 

 

6.まとめ

以上となりますが、いかがでしょうか?

湿度変化に強い、ビンテージライクでアコースティックなトーン、軽量化、渋い色合いの茶褐色…サーモウッドの良さ、凄さがお分かり頂けたのではないでしょうか?
この独特な質感のサーモウッド、まだ試したことがない方はお近くの楽器店やSago工房でぜひ一度体感してみてください。

 

サーモウッドとは