Sagoで楽器ができるまで。ネック製作編(前編)

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こんにちは。
Sagoの楽器作りを紹介するブログ。

今回は「ネックの製作」について解説させて頂きます。

「楽器を作る = ネックを作る」と言っても過言ではないくらい、
ネックをしっかりと作り上げることを
Sagoではかなりこだわっています。

紹介したいポイントがたくさんありますので、
前編、後編と分けてお送りします。

今回は前編です!


1.ネック材にトラッスロッドを組み込み

まずはネック材にトラッスロッドを仕込みます。
このトラスロッドとは楽器が完成した後に
ネックの反りを調整するパーツのことです。

木は生き物です。
エレキギター、ベースのネック用に加工された後も
木は水分を吸ったり吐いたりして、
その形状を維持しようとするのです。
ネックが完成して、ネックが順反りに反ってきた際に
トラスロッドを回すことによって、
逆反りの力を働かすことで、ネックの反りを調整します。
トラスロッドをネック材に仕込んだら
溝をメイプルで埋めていきます。

続いてネック材と指板材を貼り合わせていきます。

このネック材と指板材はNCルーターでラフカットされます。
NCルーターは扇型のファンドフレットなど、
数値にシビアな設計では特に重宝します。

ポジションマークがあるモデルはビスで固定して、
センターを合わせます。

ポジションマークのないモデルは
マスキングテープで基準を作って
上手く貼り合わせて行きます。

その後このように端材を間に挟んで、
クランプで固定していきます。

2.ネック材を研磨

次にネック材を研磨して、グリップを出していきます。
一気に最終的な仕上がりを目指さず、
木材の状態を見ながら徐々に磨いていきます。

木を削ることで空気を触れる面が新しく現れ、
水分を取り込もうとします。
木材は伸縮しやすく、個体差もあるため、
同じモデルを制作したとしても毎回同じようにいきません。

楽器としてネックが反ってしまうのは当たり前ですので、
順反ってしまった時に適正な状態に戻せるよう、
制作の段階から細心の注意を払っています。

例えば夏場であれば湿度が高く、
特にネックが動きやすいです。

はじめはこんなにゴツゴツしていたネック材も、
電動ヤスリを当てたり、
手動で磨いていくことで、
馴染みあるネックのグリップへと近づいていきます。

Sagoではご指定がない限り、太すぎず、細すぎず、
長い時間演奏していてもストレスにならない
オリジナルのCシェイプでネックを制作しています。

しかしネックの握り心地もプレーヤーよって様々ですので、
カスタムグリップと言って、ご愛用の楽器を
1~2週間程お借りして、お好みのグリップシェイプに
近づけることもできます。

また塗装前にグリップチェックして頂くことも可能です。
このような細かな要望にもお応えできるのが、
オーダーメイドの魅力です。

3.指板の研磨

グリップがある程度整ってきたら、
指板を研磨していきます。
指板にRをつけていくため、
サンディングブロックに
サンドペーパーを取り付けて磨いていきます。

フェンダータイプのネックでは7.5か9、
ギブソンタイプのネックでは12を使うことが多いです。

数字が大きくなるにつれ、指板面がなだらかなになります。
このRの数値はブリッジやモデルによってRを使い分けております。

ネック材と同様こちらも削ってRをつけることで木が元に戻ろうとします。
指板は反らないように細心の注意が必要です。
フレットを打つと逆反りの力が働くため、
フレットが打ち込まれた状態で程よい順反りになるようにしていきます。

4.サーモウッドの豆知識

サーモウッドは木材が人工的に強制乾燥されていることから、
余計な水分が抜けている状態です。
ノンサーモに比べて木工の最中に木材が動きにくいです。

木材にサーモ処理を施すことにより、
処理の途上で木が割れたり、歪んで楽器用の木材として使えない箇所が出てきます。
結果として良質な部分のみが抽出されるため、木材による個体差が少ないと言えます。

また木材の硬度が適度で、素直に加工ができるのも
制作する上でサーモウッドのメリットです。

5.まとめ

以上となりますが、いかがでしょうか?
ものづくりは機械化、デジタル化が進んでいますが、
手作業だからこそ細かいオーダーにも
柔軟に対応することが可能です。

また、大切な1本をオーダーするなら、
どんな人が作っているのか気になるところです。

そこでSagoのYouTubeチャンネルでSagoのビルダーたちを紹介しています。
制作風景をお見せできる機会もあまりないので、
ぜひ一度ご覧ください!

ネック製作編

塗装編