Sagoで楽器ができるまで。ネック製作編
最終更新日: 公開日: 製作の様子
こんにちはSagoNMG工房です。
Sagoでは「楽器を作る = ネックを作る」と言っても過言ではないくらい、ネックをしっかりと作り上げることにこだわっています。
今回のブログではそんなネック製作について、製作の様子や工程を紹介しながら解説していきたいと思います。
↑ネック製作の工程をYoutubeでも解説しています。
トラスロッドを仕込む
木は生き物です。
加工が終わった木でも水分を吸ったり吐いたりしてその形状を維持しようと動きます。そうした木の動きや弦の引っ張る力によってネックの反りがおこるのですが、この反りをネジを回すことによって調節できる「トラスロッド」というパーツがエレキギター・ベースのネックの中には埋め込まれています。
ネックの中心に溝を掘ってトラスロッドを仕込んだら、トラスロッドを抑えるための埋め木を貼ります。
埋め木は強度が必要なので基本的にはメイプルを使用しています。
続いてネックと指板の貼り合わせへ。
ポジションマークがあるモデルはビスで固定してセンターを合わせ、ポジションマークのないモデルはマスキングテープで基準を作って上手く貼り合わせて行きます。
その後クランプで固定し、乾燥を待ちます。
サイドポジション
接着が完了したら、ポジションマークを埋め込んでいきます。
サイドポジションマークの穴をハンディドリルで開け、
棒状のポジションマーク材を差し込みニッパーでカットしていきます。
Sagoではサイドポジションにルミンレイという蓄光素材を採用しており、ギターは2mm. ベースは3mmのサイズを使用しています。
ローズなどはフチなし、メイプルなどの明るい木材の場合は外周に黒いフチが付いたものを使用します。
接着剤を流し込み、硬化が終わったら、はみ出た部分をペーパーで研摩で綺麗にします。
ネック材を研磨
ネック材を研摩してグリップを出していきます。
ここで一気に最終的な仕上がりを目指さず、木材の状態に合わせ徐々に削っていきます。
木材を削ることで、木の厚みとトラスロッドのバランスが変わるため反りがおこります。さらに木は削ったところから乾燥が始まるため、逆反り方向に縮んでいきます。
そのような状態を修正せず一気に削り、後から反りを直してしまうとネックシェイプは直線ではなく曲がり、その後の反りやねじれも大きく出てしまいます。
クオリティの高いネックを作るため、加工の段階で細かく反りや直線をチェックし修正を繰り返しながら進めていきます。
はじめはこんなにゴツゴツしていたネック材も、電動ヤスリを当てたり手動で磨いていくことで、馴染みあるネックのグリップへと近づいてきました。
Sagoではご指定がない限り、太すぎず細すぎず、長い時間演奏していてもストレスにならないオリジナルのCシェイプでネックを制作しています。
ネックシェイプでは「カスタムグリップ」という現在使用している楽器のネックをお借りして、好みのグリップシェイプに近づけて製作することも可能です。
直接工房に来ていただける方は、製作途中のネックグリップを直接触って確認することもできますので、ご連絡ください。
指板の研磨
グリップがある程度整ってきたら、指板を研磨へ。
指板にRをつけていくため、サンディングブロックにサンドペーパーを取り付けて磨いていきます。
ブリッジやモデルによって指板Rを使い分けており、フェンダータイプのネックでは7.5inchか9inch、ギブソンタイプのネックでは12inchを使うことが多いです。
この数字が大きくなるにつれ指板面はなだらかになっていきます。
ネック材と同様こちらも削ってRをつけることで木が元に戻ろうとします。
指板は反らないように細心の注意が必要です。フレットを打つと逆反りの力が働くため、フレットが打ち込まれた状態で程よい順反りになるようにしていきます。
指板コーティング
指板材によって指板面の仕上げが変わります。
メイプルなど明るい材はクリア仕上げ、ローズなどの暗い材はオイルを塗り仕上げていきます。
フレット打ち
まずはフレットの準備です。
指板のRが一定の場合、器具を使って指板のRに合うよう、フレットに丸みを付けていきます。
このRの付け方は職人によって変わりますが、基本的にはぴったりと合うようにRを合わせます。
準備ができたらフレットを打ちこんでいきます。
フレットが後から浮いてこないよう、均等に慎重に力をかけます。
また、一定のカーブではない「コニカルラディアス」というSagoで人気の指板Rがあります。
コニカルラディアスとは、ヘッド側から指板エンドにかけてカーブが緩やかになっていくRの付け方です。放射状に貼られている弦に対し指板面が沿うので、一定のRだと生じてしまう各弦に対するズレを無くすことができます。
指板Rについてはこちらで詳しく解説しています。
予めNCルーターでRがついた状態でラフ加工されますが、手動での研磨はもちろん、フレットを打ち込むのにも各ポジションのRに合わせて研磨を行う必要があります。
フレット1本1本を各Rに合わせてハンマーで手合わせし、フレットが後から浮かないよう丁寧に圧入していきます。
フレットが打ち込めたら、フレットがはみ出している部分をヤスリで削り、サイドを綺麗に整えていきます。
まとめ
以上となりますが、いかがでしょうか?
ものづくりは機械化、デジタル化が進んでいますが、手作業だからこそ細かいオーダーにも柔軟に対応することが可能です。
また、大切な1本をオーダーするなら、どんな人が作っているのか気になるところです。YouTubeチャンネルでSagoのビルダーたちを紹介しています。制作風景をお見せできる機会もあまりないので、ぜひ一度ご覧ください!
「Sago」は2004年に創立した、ギターメーカーです。
エレキギター・ベースを基本に、スタンダードなモデルや弊社プロデュースのモデル、フルオーダーまで幅広く製作をしています。
豊富なアイデアと技術で、お客様の理想の一本を製作させていただきます。