【サーモウッドとは?】Sagoが楽器作りに選ぶ理由とその魅力
最終更新日: 公開日: オーダーメイド参考

こんにちは、Sago NMG工房です。
「サーモウッドと言えばSago」と言っていただけるほど、今や当社の代名詞ともなったこの素材。
今回は、私たちの楽器製作に欠かせないサーモウッドの特徴・メリット・注意点を、徹底的にご紹介します。
サーモウッドとは?

サーモウッドは、フィンランドで開発された木材の熱処理技術です。
木材を無酸素状態で約200度の高温乾燥することで、人工的に経年変化を促し、以下のような効果を得られます。
- ・含水率が下がり、湿度変化に強くなる
- ・断熱性・寸法安定性が向上
- ・木材内部まで均一な性質になる
元々サーモウッドは家具や建築の分野で用いられている技術で、木材をサーモ処理すると平衡含水率が減少し、断熱性も高くなります。大気中の水分や気温の影響を受けにくいことから、寸法の安定性が向上し、木材が芯まで均一な品質となります。
加工には熱と水のみを使用するため、人や環境にもやさしく、特殊な設備も不要です。
楽器製作にもメリットがあり、この技術をエレキギター・ベースに応用すれば面白いのでは?ということで、世界に先駆けて2009年よりSagoは楽器にサーモウッドを導入しました。
他メーカーでローステッドと呼ばれているものも、サーモウッドと同様の熱処理木材です。
ネックに使用した場合の特徴

サーモ処理された木材はセルロースや水分が取り除かれた超乾燥状態となり、
ネックに使用することで以下のような利点があります。
✔ 反り・ねじれに強い
加工時の水分や成分による木材の動きが減り、完成後のネックの反りやねじれも少なくなります。
✔ 全国ツアー・海外遠征でも安心
地域によって異なる気候でも、安定した演奏性を保てるのはプロミュージシャンにとって大きな安心材料です。
✔ ピッチが安定しやすくデッドポイントも減少
サーモ処理した木材は細かく均一に鳴るため、ネックに使えばピッチが安定しやすく、デットポイントが少なくなります。
SagoではジャズベースやストラトタイプなどのClassic-Style Seriesでサーモ処理を施したメイプルをネック材に標準採用しています。
ネック以外の仕様は標準的なモデルと同じで、慣れ親しんだグリップシェイプでサーモウッドによる違いをぜひ体感してみてください。
ボディに使用した場合の特徴

サーモ処理が施されたボディは人工的に経年変化が与えられているので、弾き込んだ楽器、ヴィンテージギターのような極上トーンが得られます。
✔ 全弦がバランス良く響く
振動がボディ全体に響きやすくなり、ギターで1-6弦を使ってコードを弾くと、低音から高音まで均等にしっかり鳴っているのがお分かり頂けると思います。
✔ アコースティック感のある独特なトーン
ビンテージトーン狙いでなくても、サーモウッド特有の響きは個性ある音色として重宝されます。
Sagoではボディ材によく使われるアルダーをサーモ処理しています。このサーモアルダーはSagoのConcept modelやXimeraのArxi・Moxinoに採用されています。
注意点とSagoの工夫
△ 音のアタックがやや柔らかくなる
ネック・ボディともに、音の立ち上がりが丸く柔らかくなる傾向があります。
広がりすぎず締まった音にしたいという場合には、あえてサーモウッドを使わない提案をすることもあります。
△ 色味の影響
サーモ処理により木材が茶褐色になるため、シースルー系塗装時には色味を考慮する必要があります。
▼ Sagoの工夫:「ライトサーモメイプル」の採用
なお上記の懸念点を考慮し、数々の実験を重ねて、2017年からはネック材として浅めにサーモ処理したメイプル
「ライトサーモメイプル」をメインに使用しています。

ノンサーモの質感を残しつつ、サーモの利点も取り入れたバランスの良い選択肢です。
またサーモウッドを有効的に活用するためには、木材の組み合わせやパーツ類の選定が重要になってきます。詳しくはSagoのスタッフまでお問い合わせください。
【比較実験】ネック用木材の重量を比較してみた
ネックを製作する際の端材を使って、重量比較をしてみました。
用意したのは上から①サーモメイプル、中央は②ハーフサーモメイプル、下は③ノンサーモのメイプルです。

材料 | 重量 (g) |
---|---|
①ダークサーモメイプル | 77.0g |
②ライトサーモメイプル | 79.1g |
③ノンサーモメイプル | 87.5g |
同寸法(173×35×20mm)のサンプルで比較した結果、
通常のメイプルに比べて①サーモメイプルは約12.0%、②ハーフサーモメイプルは約9.6%軽量化が実現されています。
実際にサーモウッド製のギター・ベースを手にすると
「見た目は同じなのに、持った瞬間に軽い!」と実感される方が多くいらっしゃいます。
長時間のライブやリハーサルでも負担が少なく、身体への優しさも魅力です。
まとめ
いかがでしたか?
- 湿度変化に強い安定性
- ヴィンテージライクな鳴り
- 軽量で扱いやすい
- 渋い色味の美しい見た目
サーモウッドの良さ、凄さがお分かり頂けたのではないでしょうか?
▼ 試してみたい方はこちら
ボディまたはネック単体での製作も行っていますので、お気軽にご相談ください。

「Sago」は2004年に創立した、ギターメーカーです。
エレキギター・ベースを基本に、スタンダードなモデルや弊社プロデュースのモデル、フルオーダーまで幅広く製作をしています。
豊富なアイデアと技術で、お客様の理想の一本を製作させていただきます。