Sagoのハイスペックギター Ymirとは?
こんにちは、SagoNMG工房です。
今回の深掘り解説では、Sagoのハイスペックギター「Ymir」について取り上げていきたいと思います。
Ymirのコンセプト
SagoのConcept Modelの中でも、ハードロックやメタルのようなテクニカルなプレースタイルのギタリスト向けに開発したのがこのYmir。
ハイポジションの演奏性やアームを多用したフレージングに対応できるよう、フレット・指板R・ネックグリップ・ジョイント部などの仕様を選定しています。
さらに唯一レギュラーで7弦のラインナップがあるモデルなので、7弦ギターをお考えの方にも是非試していただきたい一本になります。
剛性を持たせたネック
まずはYmirの特徴として大きい、ネック周りのこだわりです。
・648mmの24F仕様
・ステンレスフレット
・コニカルラディアス
・薄めのネック厚
・マテリアル
・サポートロッド
上記について細かく紹介していきます。
スケールは648mmのフェンダースケールに、24フレット仕様。
JESCAR社のステンレスフレットを使用しています。
ステンレスフレットは、弦より硬く耐久性が高いのでフレットの消耗をかなり抑えることができ、滑らかな弾き心地で音の立ち上がりもよくサスティンがあります。
指板に触れにくくなることでチョーキングがしやすく、タッピングの発音のいい、ジャンボサイズを採用しました。
指板Rは、全ポジションの弾き心地が上がるコニカルラディアス(円錐指板)に。
0フレットから最終フレットにかけて緩やかになるRを付けることで弦とのズレを無くし、低い弦高にセッティングしやすくなり、ビビリや音図まりを解消することができます。
なぜ指板Rで弾きやすさが変わるのかについては、こちらで紹介しています。
→指板R(カーブ)について
ネックグリップは、薄めのCシェイプ。
Sagoのレギュラーグリップ→ 1F:21mm ~ 12F:23.5mm
Ymirのネックグリップ→ 1F:20mm ~ 12F:22.5mm
と1ミリほど薄くしています。
ネック厚を薄くすることで、握りやすく軽いタッチで演奏することができます。
テクニカルなギターで薄めのネック厚を採用することはよくありますが、不安なのはネックの強度ですよね。激しいアーミングや湿気などの環境変化でも、安定してネックのコンディションが保てるように木材を構成しました。
ネック材はサーモメイプル。
Sagoではお馴染みのサーモウッドですが、強制的に木材を乾燥させることで、木材が水分を吸ったり吐いたりすることを軽減させることができ、これによりネックが反りにくくなります。
またサーモ処理の途中で、木材によっては割れやねじれが出ることがあります。処理をすることで木材がふるいがけされ良質な部分だけが残るので、安心してお使いいただける木材としておすすめしています。
指板材はリッチライト。
リッチライトはエボニーの代替材として開発された人工素材です。がっちりと詰まった質感とマットなルックスが特徴的で、人工素材のため環境に左右されません。強度も高く、価格、品質共に安定しているマテリアルになります。
ネック内にはトラスロッドの両サイドに、カーボンのサポートロッドが埋め込まれており、より強度を高めています。
環境変化を受けにくいマテリアルで構成することにより、シビアなセッティングを長期間キープすることができます。
ハイポジションのアクセス
Ymirはボルトオン仕様ですが、ジョイント部を一段薄くし丸く削り込むことで、ハイポジションへのアクセスをよくしています。さらにカッタウェイを深く広くとることで、最終フレットの24フレットまでしっかりと手が届くようになっています。
ボディ材の選定
マテリアルは
ボディバック:バスウッド
ボディトップ:メイプル
ボディのバスウッドですが、フラットな音響特性で低音から高音までまんべんなく鳴る木材です。材自体にクセがないので、ピックアップなどの特性を生かすことができます。
そしてバスウッドだけでは足らない、パキッとした鳴りを出すためにトップ材にはハードメイプルを貼っています。、煌びやかな高音と締まりのある低音が加わり、バランスの取れた立体的なサウンドを生み出しています。
アームアップとアームダウン
Ymirにはブリッジ下に、リセス加工(落とし込み)をしています。
これによりアームアップ時にボディに当たることが無く、可動範囲がぐんと上がります。
ブリッジの取り付け部にはメイプルのブロックを仕込み、アーミングを繰り返した時にブリッジが抜け落ちてしまわないように強度を上げています。
【ブリッジのカスタム】
Ymirはマイナーチェンジ前はフロイドローズを標準としていたため、フロイドローズへのブリッジ変更の場合データ作成のアップチャージなく製作が可能です。
24フレットが欲しいけど、ブリッジはベタ付けにしたいという方は、リセス無しでの製作も可能ですので、自身のプレイスタイルに合わせぜひカスタムしてください、
ピックアップ・コントロール
Neck PU:L(x) GD
Middle PU:L(x) GST
Bridge PU:L(x) GD
ハードロックやメタル等のテクニカルなギター、ハードなサウンドアプローチに対応できるよう、コイルの巻き数を通常のPUより上げて高出力に仕上げています。
深く歪ませても音の芯が残り、ピッキングのニュアンスをしっかり表現できます。
コントロールは、1Vol+1Tone+5Way SW+Mini SW(Center ON-OFF)
5Wayスイッチにすることで2ハムバッカーのセレクトに加え、コイルタップの機能を持たせました。センターのシングルコイルはミニスイッチでON-OFFでき、多彩ながら直感的に操作ができるコントロールとなっています。
①フロント
②フロント(コイルタップ)
③フロント(ハム) & リア(ハム)
④リア(コイルタップ)
⑤リア
コイルタップはフロント・リアともに、内側のピックアップが鳴ります。
またハム時とコイルタップ時で音量差が出ないように、コイルタップ側のコイルは巻き数を増やして出力を上げています。
上記の①~⑤にセンターピックアップのONが加わることで、合計10種類の音色を取り扱うことができます。
コイルタップ時(シングル)にセンターシングルが組み合わさることで、ストラトタイプなどではお馴染みのハーフトーンが出力できる他、全てのピックアップを使ってゴージャスな音で鳴らすことができます。
こちらの動画にてピックアップの特徴・サウンドを紹介しています。
なおピックアップのレイアウト・スイッチ類のカスタマイズも可能ですので、お気軽にご相談ください。
7弦ラインナップ
Ymirはギターモデルで唯一、レギュラーラインナップに7弦モデルがあります。
Low-B弦が加わることでネック幅は広くなっていますが、その他は6弦モデルと同じ仕様です。
弊社はカスタムオーダーがメインのため、他のモデルやオリジナルモデルで7弦ギターの製作は可能ですが、7弦モデルにする際に新たに設計が必要です。そのためNCのデータ作成代などのアップチャージがかかります。
その点、Ymir7では設計代のアップチャージがかからないので、7弦モデルをお探しで費用を抑えたい方にもおすすめのモデルになります。
追記:2024年より7弦のカーボンネックが誕生しました!
7弦カーボンネックはYmir7のネックを基に設計されているため、基本の仕様を受け継いでいます。
カーボンネック最大の特徴は、環境変化に全く左右されないことです。
さらに弊社のカーボンネックには、それぞれのプレイスタイルに合わせて反りを調整できるよう、あえてトラスロッドを仕込んでいます。
詳しい仕様やサウンドに関してはこちらで紹介しています↓
7弦ギターを選ばれる方にとっても、Ymirのコンセプトや仕様はぴったりだと思いますので、ぜひ一度お試しいただけたらと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
紹介したいこだわりも多く、少し長い記事になっていましたがYmirの魅力をしっかりと伝えることができたんじゃないかと思います!
Ymirの6弦・7弦モデルは現在、クロサワ楽器 福岡ミーナ天神店様にてお取り扱いいただいています。お近くの方や気になった方はぜひ試奏してみてください。
「Sago」は2004年に創立した、ギターメーカーです。
エレキギター・ベースを基本に、スタンダードなモデルや弊社プロデュースのモデル、フルオーダーまで幅広く製作をしています。
豊富なアイデアと技術で、お客様の理想の一本を製作させていただきます。