ギター各部位名称

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目次

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ボディ

ボディ(body)には一般的には木材が使われており、木材の種類によって音色や重さが変わります。

また、面積が大きいので塗装や杢のある希少材を貼ることで楽器全体の印象を変えることができます。

昔からの定番として「アルダー」「アッシュ」「マホガニー」が多く使われています。

→スタンダードな材の特徴についてはこちら

ピックガード

ピッキングの際にボディに傷がつかないように取り付けられたカバー。

ピックアップやコントロールの配線をピックガードにまとめることもできます。

モデルによって形は大小さまざまで、カラーや柄のバリエーションも豊富です。
→ピックガードの種類・参考

ピックアップ

弦の振動を電気信号に変え、音を拾うマイクのような役割をしています。

主にマグネットとコイルで構成されていて、磁性体である弦が磁界で振幅することで磁束を変化させ電気信号を発生させます。ポールピースの並び方・サイズ・コイルの巻き方が変わることでサウンドが大きく変化します。

また同じピックアップでもポジションによってサウンドが変化します。

ピックアップの種類には「シングルコイル」と「ハムバッカー」があります。

シングルコイルピックアップは、倍音を含んだ明るくクリアなサウンドが特徴。高音域までしっかりと出ますが、構造上ノイズを拾いやすいです。
ハムバッカーピックアップは、2つのコイルを逆相接続することでノイズを打ち消しあうハムキャンセルが特徴で、中低音が強調された太く甘いサウンドをしています。

メーカーによって、コイルの巻き数を増やしたりポールピースの形や位置を工夫したものなど、多様なピックアップが生まれています。製作の様子をブログで紹介しているので気になった方はぜひ見てください。→ピックアップ製作

コントロール

ピックアップからの電気信号をコントロールする部分。

音量を調整するボリューム、音質を変えるトーン、どのピックアップで振動を拾うか選ぶセレクターが付いています。

ハムバッカーの片方のコイルだけを鳴らすことができるタップスイッチや、ボタンを押している間音を消すことができるキルスイッチ、ピックアップの直列・並列を切り替えるシリパラスイッチなど配線の仕方によって、スイッチにさまざまな機能を持たせることができます。

ブリッジ

弦をボディ側で固定しているパーツで、支点になる駒のことをサドルと呼びます。

各弦を支えるサドルをネジで、弦の高さを変えたりオクターブチューニングの調整をします。

使用されている金属や重さ、サドルの形状などにより音色やサスティーンに違いがあります。

ブリッジにはボディに固定されているものと、アーミングができるトレモロタイプがあります。

ハードテール          固定式の裏通しのブリッジです。アーミングをしないので、チューニングの安定性が高くサスティーンが長いです。
チューンオーマチックブリッジ部分とポールエンドを留めるストップバーテールピースが独立しています。ハードテールと同じで、安定性が高くサスティーンが長いです。
ビグズビーやオフセットビブラートを取り付けることでアーミングすることもできます。
シンクロナイズドトレモロアーミングが可能なブリッジです。6点支持と2点支持があり、2点支持の方がアーミングの際のチューニングがずれにくいです。現在は2点支持がスタンダードになっています。
サドル形状のバリエーションも多くカスタムができます。
ロック式トレモロロックナットとサドルで弦を固定するので、安定性がダントツで高いです。一度チューニングをすると狂いにくいですが、弦交換やチューニング方法が複雑なので演奏中のトラブルに対応しにくいのがデメリットです。

バックパネル

コントロールキャビティやトレモロブリッジなどのボディバック面のザグリを保護したり隠すパーツです。

ピックガードのように、装飾として杢の綺麗な木材で作られたパネルもあります。

ジャック

電気信号をシールドにアウトプットさせるパーツです。

一般的な電池を使わない(パッシブ回路)ギターにはモノラル・ジャック。LEDやEMGピックアップなど電池を必要とする場合(アクティブ回路)はステレオ・ジャックが使用されます。

内部は板バネ式になっていてシールドの抜き差しにより劣化もしやすいパーツなので、音が出なかったりガリガリとノイズが出るときはこのジャックが原因になっている場合が多いです。

ストラップピン

ストラップを取り付けるパーツです。

ストラップピンの位置によって演奏時のギターのバランスが変わります。

ノーマルなタイプの他に、演奏中にストラップピンからストラップが誤って外れてしまわないように固定するロックピンがあります。

ジョイントプレート

ネックとボディの接続部分に使用されるパーツです。

ボディとネジの間にプレートを挟むことで、ボディにかかる力を分散させます。

プレートの素材や重さによってサウンドが変わるので、リプレイスパーツも多く販売されています。

プレートの他に、ジョイントブッシュがあります。プレートと同じようにボディとネジの間にブッシュを挟むことで力を分散させますが、プレートに比べて分散力が弱いのでボディが硬い材でないとトラブルが起きやすくなります。しかし、面積を必要としないのでヒールの形状の自由度が高いです。

→ヒールの形状について

カッタウェイ

Sagoギターモデル-オバンコール

ボディをネックの付け根からえぐるようにカットした部分のことをカッタウェイと呼びます。

カッタウェイがあることで奥まで手が入り込み、ハイポジションが弾きやすくなります。

両側の場合はダブルカッタウェイ、片方の場合はシングルカッタウェイと呼びます。

エルボーコンター

演奏時に体に当たる部分を削ることで、体への負担を軽減したりフィット感を高めます。

肘が当たる部分をエルボーコンター、バック面のお腹に当たる部分をウエストコンターと呼びます。

ボディエッジ (外周R)

ボディの外周の角のことをボディエッジ、その角の丸みのことを外周Rといいます。

普段意識することは少ないと思いますが、この外周Rの大きさで見た目の印象が結構変わります。Rが大きいほどやさしい印象になり、Rが小さいほどパキッと締まった印象になりますが、演奏時に角が当たります。

バインディング

ボディの外周に巻かれた、額縁のような装飾のことをバインディングといいます。

ボディだけでなくネックやヘッドまで巻かれているモデルもあり、角を衝撃から守る役割も持っています。

主にセルロイドや木材、貝が使われています。

その他にも、丸みとは逆にえぐるように外周を削るリバースR(逆R)や、大きく斜めにカットするベベルカットなどがあります。

ネック

演奏時に手が触れる時間が圧倒的に長いネック。

ネックの反りや安定性が弾きやすさに大きく影響するため、ボディよりも木材の選定がシビアです。

柔らかい木材だと弦の張力に負けてしまったり、しっかりと乾燥されていないまま加工すると水分が抜けることでネックの反りやねじれが起きてしまいます。

代表的なネック材には「メイプル」と「マホガニー」があります。

→ネック用木材の選び方・特徴

ヘッド

ヘッドは各メーカーの顔。

メーカーによって様々な形があり、見た目の印象が強いですが、チューニングの安定性や弦のテンションを考慮したペグの配置、ヘッドの重量などを考えてデザインされています。

ペグが片方に一列で並んでいるものを片側6連、両側に3つずつ並んでいるものを両側3連と呼びます。
その他に片側6連のヘッドを反転させたリバースヘッドや、テンション感を調節するために4:2 や 5:1のペグ数に分かれているもの、ヘッドのないヘッドレスのモデルもあります。

ペグ

弦のチューニングを合わせるペグ。

ペグによって細かい調整できるものや、少ない巻き数で弦をロックできるものがあります。

頻繁に行うチューニング。精度の高い自分に合ったものを使うことで、チューニングの安定性やストレスが大幅に解消されます。

ペグの形状には、大きく「クルーソンタイプ」、「ロトマチックタイプ」があります。

クルーソンタイプは重量が軽く倍音を含んだサウンド、ロトマチックタイプはクルーソンに比べて重くサスティーンがありタイトなサウンドが特徴です。

さらに弦を一定数巻き付ける通常のペグとは異なり、つまみを少し回すことで弦が固定できるロックペグというものがあります。
巻きつける必要がないため弦交換が速く楽になり、アーミングやチョーキング際のチューニングの狂いが軽減されます。

※ペグ交換の注意点
ペグを交換する際は、お手持ちの楽器にサイズが合っているかを確認しましょう。タイプが一緒であればそのまま交換できるものが多いですが、製品によって規格が違うことがあります。
多いトラブルとして、取り付けネジが小さく、付け外しの際にネジが折れやすいので注意が必要です!

ストリングガイド

弦を上から抑えてテンションを保つことで、弦の共振やナットから弦が外れることを防ぐパーツです。リテーナーとも呼ばれます。

ネック角度のないギターに取り付けられていますが、ロックペグの場合ポストの高さがあらかじめ調整されているので不要な場合があります。

ナット

ボディ側のブリッジに対しネック側の支点となる重要なパーツで音色、弦高やチューニングの安定性に影響を与えます。

指板のカーブやフレットの高さ、各弦の太さに合わせて適切に溝切りする必要があります。

演奏することによって、溝が削れて消耗していきますので、その際には交換が必要になります。

ナットの素材にはいくつか種類があり、素材によって耐久性や滑りの良さ、音色が変わります。

現在よく使われている種類を紹介すると、

プラスチック低価格のモデルに多い。加工がしやすく品質が安定しているが、消耗が速い。
牛骨ナット(オイルボーン)最もポピュラーな材で耐久性がある。まとまりのあるマイルドなサウンド。オイルを染みこませたオイルボーンは弦の滑りが良い。
TUSQ(タスク)牛骨に並ぶポピュラーな材。人工象牙のため個体差が無く、加工性もよい。弦の滑りも良い。
ブラス耐久性が高い。フレットと同じく金属のため、開放弦とフレットを押さえた時の音の違いが少ない。牛骨に比べ加工が難しい。
カーボン耐久性が高く輪郭のはっきりしたサウンド。溝切の際にヤスリがダメになってしまうほど加工が大変。
ロック式フロイドローズが搭載されたモデルのナット。ネジの締め込みで弦を固定しチューニングを安定させる。

指板 (フィンガーボード)

ネックの表面に貼られ、フレットが打たれる木材の部分。

木材の種類よって見た目や弾き心地、音色が変化します。

使用する木材の強度や性質によって、ネック自体の剛性や環境変化による反りなどにも影響します。

指板によく使われる材としては「メイプル」「ローズ」「エボニー」があります。

→指板用木材の選び方・特徴について

指板R

指板を断面から見てみると、平坦ではなく緩やかなカーブが付いてます。

これが指板Rと呼ばれており、スペックなどにはRadius(半径)の頭文字のRをとって表記されています。メーカーによってインチかmmの表記が変わり、数字が小さいほどカーブはきつく、大きいほど緩やかになります。

一般的にフェンダー系のものは7.5インチ(≒185mm)や9.5インチ(≒240mm)などカーブのきついものが多く、ギブソン系のものは12インチ(≒305mm)などカーブが緩いものが多いです。緩やかな方が弦高を下げやすくなります。

指板Rについてはこちらの記事の中で詳しく紹介しています。→指板Rについて

フレット

指板に打ち込まれている棒状の金属のことです。

1フレットごとに半音ずつ上下するように打ち込まれており、弦を押さえた時にフレットからブリッジの弦が振動することで音程が作られます。

フレットには、素材・幅・高さに種類があります。

素材は主に「ニッケルシルバー」と「ステンレス」が使われています。
さらに上記の画像のような金色の「エボゴールド」も弊社では人気が高いです。

ニッケルシルバー 銅/ニッケル/亜鉛の合金。最もポピュラーな素材。弦より少し柔らかく加工性がいい。
ステンレス鉄/クロム/ニッケルの合金。弦より硬く耐久性が高い。ニッケルに比べ高音域が強く出やすい。
エボゴールド銅/錫/鉄/チタンの合金。ニッケルとステンレスの中間の硬さ。金色のゴージャスなビジュアル。

ポジションマーク

フレット数が分かりやすいように指板に付けられたマークのこと。

形は様々で、デザイン性の高いインレイのものも多くあります。

一般的には3、5、7、9、12…の位置に刻まれています。

丸くシンプルなドットインレイ、サイズが大きくゴージャスなブロックインレイ、台形になっているディッシュインレイが一般的です。
素材には白蝶貝、アバロン貝、木材、樹脂などが使われています。

照明の光を吸収して暗くなると光る、ルミンレイという蓄光素材もあります。ステージで暗転したときにもポジションが分かりやすく演奏をアシストしてくれるのでおすすめです。
ド派手なLEDも人気で、こちらは指板の裏側にLEDの配線用の溝が彫られており、スイッチのON/OFFでポジションマークを光らせることができます。

スケール (弦長)

ブリッジのサドルからナットまでの長さをスケールといいます。

スケールはメーカーやモデルによっていくつかあり、サウンドや演奏性が変わります。

一般的なスケールとして、フェンダー社のストラトキャスターやテレキャスターの25 1/2インチ、ギブソン社のレスポールやSGの24 3/4インチがあり、スケールが長いほど弦のテンションが高く、短いほどテンションが緩くなります。

スケールのテンションとダウンチューニング
半音下げや一音下げなど場合、弦を緩めることで音階を下げますが、弦を緩めることでテンションも緩くなるので、音のハリがなくなって音像がボヤけやすくなります。

そのダウンチューニングの弦のテンションを解決するために考案した、低音側にフレットを伸ばす「半音下げ~2音半下げスケール」という面白いスケールもあります。
弦のテンションを緩めることなく、カポ移動だけで音階を下げることができるので、ダウンチューニングの弦のテンションやチューニングの切り替えにお悩みの方はぜひ読んでみてください。→半音下げ~2音半下げスケールについて

トラスロッド

外側からは見えませんが、ネックの中にはトラスロッドという金属の棒が埋め込まれています。

トラスロッドのナットを回すことでネックの反りを調整することができます。

このロッドを調節するナットは、ヘッド側かネックエンドに付いています。

ヘッド側の場合、モデルによってロッドカバーが付いていたりしますが、トラスロッド溝からそのまま通る穴があります。
ネックエンドの場合、ピックガードに調整用の穴が開いているものや、調整がスムーズなスポークホイールタイプのもの(左画像)、ボディからネックを外してからナットを回すものなどがあります。

こちらはベースですが、ネック製作の工程をYoutubeにて紹介しています。
トラスロッドを埋めるところも解説しているので気になった方はぜひ見てください。

サポートロッド

モデルによりますが、トラスロッドの他にもサポートロッドというものが埋め込まれています。

主にカーボンやチタンが使われており、軽く曲げに強い人工素材を入れることによって木材の反りや捻じれなどのトラブルを軽減します。

薄いネックやアグレッシブなアーミングプレイのためにネックの剛性を高める目的で仕込むこともあります。

ボルトオン

フェンダー系のギターに多いボルトオンタイプ。

ボディとネックをそれぞれ加工してからネジで固定します。最終の工程までネックとボディが別々の状態で製作を進められるので効率が良く、比較的安いコストで製作できます。そのため様々なメーカーのモデルでボルトオンが採用されています。

セットネック

ギブソン系のギターに多いセットネックタイプ。

ボディとネックを塗装前の段階で接着するため、ボルトオンよりも製作の手間がかかります。接着されているので、ボルトオンに比べ弦振動のロスが少なくサスティンが伸びます。

スルーネック

木工の序盤の段階でネックとボディを接着し、一体化した状態で製作します。
非常に手間がかかり高い技術が必要になるので高級モデルのものが多いです。

基本的にヘッドからボディの中心部まで一本の長い木材で製作されており、弦振動のロスが非常に少ないのでサスティンが伸び、輪郭のあるサウンドになります。

ジョイント形状 (ヒール)

ネックとボディが接合されているジョイント部の形のことをジョイント形状またはヒールといいます。

ジョイント形状の自由度は上記のボルトオン、セットネック、スルーネックによって変わり、ハイポジションの弾きやすさに影響します。
→ジョイント方法とヒール形状について

トップ材/ウィング材

楽器のボディ表面に貼られてる木材をトップ材、

スルーネックのボディに多いサイドから挟み込むように貼られている材をウィング材といいます。

ボディ材、トップ材、ネック材、指板材に使われている木材を木材ギャラリーにて紹介しています。

→木材の種類について

プライ/ピース

貼り合わせている材の枚数の単位です。

表面から見て横方向から貼られている場合 ピース、縦方向に貼られている場合 プライと数えます。

木目が左右対称になるように2ピースで張り合わせることをブックマッチといいます。

木材を貼り合わせることによって、その木材の特徴を取り入れたり剛性を高めることができます。

「Sago」は2004年に創立した、ギターメーカーです。
エレキギター・ベースを基本に、スタンダードなモデルや弊社プロデュースのモデル、フルオーダーまで幅広く製作をしています。
豊富なアイデアと技術で、お客様の理想の一本を製作させていただきます。